冬、雲南の昆明でカモメ観賞
今、多くの人が雲南省の旅を楽しみますが、その中の多くはツアーに参加して、飛行機で雲南省の省都、昆明に到着し、すぐマイクロバスか列車で自然風景の美しい大理、麗江、或はシャングリラへと向かいます。このように中継地点になってしまいがちな昆明ですが、中国南西部の大都市そして雲南省の省都として、いろいろな魅力があります。
中国南西部の都市の中で昆明は少し四川省の成都に似ています。昆明市民は日常をゆっくりと過ごすことが大好きなようです。昆明の人は収入が多くても少なくても、社会的な地位が高くても低くても関係なく、レジャーが大好きで、喫茶店でお茶を飲んだり、おしゃべりをしたり、マージャンをしたり、リラックスして生活を楽しんでいます。北京や上海などの日々を走るように過ごしている大都市の人から見ればなんとも羨ましい姿です。
先ほど昆明の魅力はいろいろあると言いましたが、今日はある動物に関する観光スポットをご紹介します。
昆明の中心部に翠湖という湖があります。毎年の11月から次の年の3月まで、ユリカモメ1万羽以上がこの湖に飛来し、冬を過ごします。今、ここは昆明の有名な観光スポットとなっています。昆明の市民も夕食後、よくここを散歩をします。散歩しながらカモメを眺めるのです。
散歩していた市民に話しを聞きました。
「カモメが昆明に飛んできたのは、昆明と何か縁があるのではないかと思います。中国南方には都市が多くありますが、カモメは昆明にしか来ないんです。きっとカモメは昆明が好きなんでしょう。もちろん私たち昆明市民も、カモメが大好きです」(市民)
では、カモメはいつ昆明に飛んできて冬を過ごすようになったのでしょうか。1985年の秋、北シベリアのユリカモメが、バイカル湖を出発し、ロシアと中国を飛び昆明に到着しました。その頃は、1万羽近くのカモメが、滇池という湖、昆明市内の翠湖、そして盤龍江という河などで餌を探して冬を過ごしていました。
雲南省は、独特な地理的な条件があるため、世界のすべての気候を見ることができます。熱帯雨林、寒帯の雪山、氷河なども全部そろっています。しかし、雲南省には海がありません。このため、カモメがある日、突然、昆明に飛んできた事は、これまでにない大事件でした。1985年、すべての昆明市民が集まっているのではないかと思うほどの人が翠湖に集まり、カモメを見たり、餌をやったりしていました。実際に当時の事を覚えている人々は口々に「毎日、毎日ものすごい人の数だった」と懐かしそうに言います。
金飛豹さんは生まれも育ちも昆明です。カモメについて、次のように話してくれました。
「ユリカモメが初めて昆明に飛んできてからもう28年が経ちました。カモメはすっかり昆明を越冬にぴったりの場所にしていると思いますが、私たちもカモメが大好きです。カモメは今や昆明を代表する冬の風物詩です」
今は、翠湖は公園にもなっています。この公園の真ん中に、ブロンズの像があります。お爺さんが微笑んで餌を湖の中に投げ、カモメがそのお爺さんの周りを飛んでいる様子が彫刻で再現されています。2006年に作られたもので、この公園の代表的な観光スポットとなっています。このお爺さんの名前は呉慶恒さん、国民党時代の西南聯合大学の卒業生です。1985年、カモメが昆明に飛んできてから、毎日10キロほど離れた家からここに来て、餌をやりました。呉慶恒さんは小麦粉ととうもろこしの粉に卵、砂糖などを混ぜて、お手製の特別な餌を作り、かめもにあげました。そして時々怪我したカモメを助けたりして、カモメと信頼関係を築いていきました。いつしかカモメは、時々呉さんの頭か肩に留まるようになりました。残念なことに1995年、呉さんは病気で亡くなりました。毎年の3月、カモメはシベリアに渡る前、呉さんの像のまわりを飛びます。まるで呉さんに別れを告げているかのようです。実は、このような人がもう一人います。崔鳳仙というお婆さんです。崔さんも呉さんと同様に28年間、冬になると翠湖に来て、自分で作った餌をカモメにやりました。周囲の人々には「カモメお婆さん」と呼ばれています……(任春生)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |