チベット、ニンティの桃の花祭り
4月、チベットのニンティの気温は低くまだ寒さを感じますが、桃の花はもう咲き始めています。雪の山を背に咲く桃の花のピンクはいっそう鮮やかに映え、えもいわれぬ景色です。ここでは毎年の4月初旬に桃の花祭りが開かれます。今年で10回目を迎えました。
美しい風景と独特なチベット族の風習が桃の花祭りに訪れた観光客を魅了しています。アモイからきた何巧玲さんの話です。
「3月と4月、どこに観光に行ったらいいかをインターネットで検索したんです。そしたら、チベットのニンティの桃の花祭りがいいという書き込みがあったので、わざわざ休暇をとってやってきました。まず成都で過ごし、それからニンティに来ました。4日間ほど滞在するつもりです。アモイにも桃の木はありますがここのとは全然違います。ニンティのは野生のものなので枝が太いですね」
清らかな渓流、白く輝く雪山、そして昔ながらの村落。そこに赤い花をつけた桃の木と芽生えたばかりの黄緑色の柳が色を添え、ニンティの春を彩っています。四川省の成都からきた楽毅さんの話です。
「成都の龍泉という場所でも桃の花祭りが行われていますが、2つの地域の桃の木はちょっと違いますね。成都の桃の木が低くて、人の手で手入れされています。ここの桃は山と谷を覆う規模で壮大です」
ニンティには桃の木が何本あるかについては誰もはっきりと答えられないないようです。ニンティ県のツェワンビィアンダン副県長は次のように話してくれました。
「ニンティは桃の花の世界です。桃の木は数え切れないほどありますよ。ニャン河沿いのそれぞれの村には桃の林があります。これは全国でも稀なんです。桃の花はピンク以外のものもあります。そして、樹齢千年の桃の木もあります。何よりも素晴らしいのは山間部の桃の木は全部野生だということです」
ニンティは高原地域すが、なぜここにこれほどの桃の木があるのでしょうか。実はこの辺りはインド洋の暖かく、湿った暖気団が水分と熱を運んでくるのです。この穏やかな気候がニンティの美しい風景をつくっているのです。
ツェワンビィアンダン副県長によりますと、四川省の九サイ溝を女性と喩えるなら、ニンティは男性です。九サイ溝では繊細な美しさを感じますが、ニンティは壮大さ、神聖さ、静かさなどが感じられます。
実は桃の花はニンティ県内のあちこちで見られます。国道318号線に沿って、ニンティに入れば、道路の両側、山の麓、河の対岸といったあらゆる所で桃の花の姿が見られます。
桃の花の谷と呼ばれる村があります。ニャン河沿いの谷に位置するガラ村です。春になると雪解け水が流れ、村に恵をもたらします。この豊富な水源によってここの桃の花は最も美しいとされているのです。桃の花鑑賞の一番のスポットとして人気です。
実は気候によって桃の花の開花時期は毎年異なるため、桃の花祭りの開催日も毎年変ります。桃の花の開花は海抜によってもそれぞれ違うのですが、確実に花が見られるのは3月から4月の末までのおよそ1ヵ月ほどのようです。(任春生)
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