甘粛省陽関、砂漠の中のダムを訪ねる
都江堰ダムと言えば、中国人なら誰もが知っています。このダムは、四川省にあり2000年前に作られた大型ダムです。今日になっても、このダムはまだ使用されています。都江堰ダムは世界水利文化の元祖といわれ、四川省の有名な観光地にもなっています。
実は、水資源が足りない甘粛省の河西廊下地域の陽関という町に四川省の都江堰と同じような役割を果たしているダムがあります。今日の番組では、周辺の農村を洪水から守る砂漠の中のダムをご紹介します。
唐代の詩人王維が、「送元二使安西」という詩歌の中に、「君に勧む更に盡くせ 一杯の酒、西のかた 陽関を出ずれば 故人無からん」と詠みました。詩の内容が示しているように、古代の陽関は辺鄙な荒地でした。しかし今日の陽関は、昔のイメージはなく、緑が多く、食料が豊富で、葡萄畑が広がっているところです。これは生態環境の回復がもたらした恩恵であり、敦煌飛天生態産業パークと砂漠の中のダムが大きな貢献をしました。
敦煌飛天生態産業パークは、クムタグ砂漠にあり、土地の砂漠化を防ぐほか、雨季、上流のアクセとアルキン山から流れてくる洪水を止める事業を展開しています。2001年に、クムタグ砂漠と敦煌飛天生態産業パークが繋がったところに、櫛の形をした台形のダムを建設しました。雨季になると、洪水がダムにせき止められ、分流されます。これによって下流の人々の命と田畑が保護されます。これについて、敦煌飛天生態産業パーク建設部の王永斌部長は、次のように話してくれました。
「このダムは次の機能を果たしています。第一は、洪水を止めることです。第二は、水を浄化させ、地下水を補給することです。第三は、砂の浄化機能を利用して、洪水を浄化しこれを水資源にして再利用し、ダム周辺と砂漠地域で、生態循環型経済を実現させようとしています」
2011年に発生した洪水は、産業パークに大きなダメージを与えましたが、下流の町と人々に影響はありませんでした。敦煌市の孫玉龍書記は、町の市民を代表して、産業パークが建設したダムの役割を高く評価しました。
陽関鎮龍勒村は、砂漠にあり、陽関鎮からは4キロ敦煌市からは60キロ離れています。村の基幹産業は葡萄の栽培です。
龍勒村に入るとアスファルトの道路、立ち並ぶ一戸建ての住宅、そして有名ブランドの自家用車が見えます。もちろん、葡萄畑も目の前に広がっています。村人の潘仲年さんは、葡萄の栽培のほか民宿や郷土料理レストランも経営しています。一年の純収入は数十万元だそうです。今の生活について、潘仲年さんは次のように語ってくれました。
「去年、お客さんは例年より多かったです。葡萄畑の面積は、2.53ヘクタールで、葡萄の収穫量はおよそ7万6千キロです。去年の葡萄の卸価格は1キロ6元で、純収入は30万元ぐらいでした。村には、面積がもっと大きな葡萄畑があります。その経営者はもっと儲けましたよ」
今、龍勒村では、葡萄栽培を基幹産業、農村観光業をサブ産業とする発展モデルが出来上がりました。潘仲年さんのように、葡萄畑や民宿と郷土料理レストランを経営している人は6人います……(任春生)
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