離婚時の財産分与について
『事件の経緯』
広州に住んでいる王さん(女)は、夫の張さんの浮気に気づき、張さんと離婚しようと考えた。2人は協議を経て離婚には合意したが、財産分与については合意に達することはできなかった。張さんは、「家庭の共有財産には不動産、車、銀行預金、株式及び債券が含まれ、共有財産の価値は合計約650万元である。王さんは、私と結婚して以来ずっと主婦をやってきたが、以上の共有財産を王さんと等分することに同意する。」と述べた。しかし、王さんは、「張さんには、張さんが言及した財産以上の財産があるはずである。張さんは、大手上場会社のCEOを務めており、年収は200万元以上であり、且つこの数年間に張さんは株の売買によって巨額の利益を取得しているため、家庭の共用財産は張さんが言及した650万元の財産だけではないはずだ。」と主張した。王さんは、張さんの浮気相手が居住しているマンション(市場価値は約200万人民元)及び車(市場価値は約40万人民元)は、張さんが購入したものであろうと考え、身分証明、戸籍帳簿及び結婚証書を以って不動産管理局、車両管理所に問い合わせたところ、やはり上記のマンション及び車は張さんの所有物であることが判明した。
最終的に、王さんは、張さんに対して500万元の財産を分与するよう要求し、張さんは仕方なく王さんの要求に同意することとなった。
『分析』
実際に、離婚時の財産分与についての紛争はよくあることである。しかし、財産の確認調査について、全国範囲で適用されている法律法規では、特定の主体のみが(例えば、裁判所、検察機関、弁護士など)、財産の関連登記主管部門(例えば、工商管理局、不動産管理局、自動車管理局など)に対して家庭の共用財産の調査協力を求めることができる、と規定しているため、当事者は自ら家庭共有財産を調べることができない。しかし、最近広州で公布された地方法規「広州市女性権利保障規定」には、「夫婦のいずれか一方は、関連証明資料を以って関連単位に相手の財産状況を調査請求することができ、関連行政管理部門又は単位は、当該請求を受理しなければならず、関連する資料を提供しなければならない。」と規定している。
そのため、広州に住む王さんは、上記の法規に基づいて家庭の共有財産の不動産及び車に関する情報をスムーズに入手することができたのである。
実は、2007 年に江蘇省もすでに上記の法規に類似する法規を公布している(例えば、夫婦双方財産状況を知る権利を保護するなど)。このような地方法規の内容から見れば、中国の立法は、夫婦共有財産の透明化に向けて改革をしていると言える。もし夫婦のいずれか一方又は双方が、家庭共有財産の帰属を明確にしたい場合、今後の財産分与紛争を避けるために、結婚前に財産帰属の公証を行い、又は婚姻中において財産分与協議書などの方式で財産の帰属を明確にする方法が考えられる。
以上はリチャード法律事務所(上海本部)の陳文偉弁護士(E-mail:wenweichen@rwlawyers.com )により提供されたものです。
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