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国境都市:琿春

2009-07-21 10:40:48     cri    

雨の中の緑

 琿春市(こんしゅんし)は吉林省の東南部に位置し、ロシアはすぐ隣、朝鮮とは川を隔てて接しています。ここでは「鶏が鳴いたら、3つの国で聞こえ、犬が吠えたら、3つ国にも響く」という喩え方があるほどです。われわれ取材団は20日に、この琿春市を訪れました。

 朝8時、雨の中でわれわれは延辺朝鮮族自治州の中心都市である延吉から出発し、琿春へ向かいました。この日は雨が降ったため気温は23度まで下がり、涼しさを通り越して、肌寒さを覚えるほどでした。団員の中には長袖の服を着込む人もいました。道路の両側には水田、トウモロコシ畑、芝などが広がり、異なる緑が美しいグラデーションを描き出していました。そんな中、われわれを乗せたバスは走り抜けていきます。私もきれいな空気を胸いっぱいに吸い込んでいるせいか、元気が出てきました。でも、残念だったのが、雨が降っているせいで、きれいな写真が取れないことでした。

 琿春の人口は25万人、漢族、朝鮮族、満州族など14の民族が暮らしています。琿春は陸上でロシアや朝鮮、海を通じて日本と韓国にもつながっています。その地理的な優位性を生かして、琿春は国境経済協力区の建設に力を入れています。また、ここには金、銅、タングステンなどの地下資源が豊富で、人参や鹿茸(シカの袋角)など特産物は1000種類近くに及びます。ここの森林率は85%以上に達し、理想的な自然環境があることから、天然の「酸素バー」という呼び方がぴったりだと思います。

中ロの陸上税関――琿春口岸

 

琿春口岸

 20日の11時ごろ、市政府で琿春の簡単な状況説明を受けたあと、琿春口岸(税関)に到着しました。「ここをくぐると、向こうはロシアです」と同行しているガイドが琿春口岸の大門を指しながらこう言いました。それほど立派な建物ではありませんが、両国を結びつける陸上の橋となっています。

 現在、琿春口岸の通行可能な貨物量は年間60万トンで、通行者数は延べ20万人と設計されています。通関ロビーに入って、多くの荷物を持ったロシア人のグループが通関手続きを始めていました。手前が中国側で、5メートルぐらい離れた向こうがロシアの税関です。出国と入国は、大体10分間ぐらいで全部の手続きを終えることができるそうです。こんなに速く2つの国を行き来する様子は初めて見ました。

 琿春市航務局の初鉄城副局長は「去年の10月、琿春口岸からロシアのザルビノ港と韓国の束草(ソクチョ)を経由し、日本の新潟に至る航路が試験的に運航を始めました。そして、この航路は今月の末には正式に開通することになる」とのことです。これまで、中国東北部の貨物を日本に輸送するためには、陸上で大連に運んでから、日本海に入ることになるので10日間以上かかります。この航路が開通すると、わずか1日で到着するようになります。今後、この航路を通じて日本から琿春、さらに吉林省へ旅行したり、ビジネスを始める日本人が増えてくることでしょう。同行している日本語部の安藤さんが書いた文章でも触れましたが、琿春の日系企業で働く村山文夫さんは、琿春の気候や環境、食べ物などを高く評価しました。もしかしたら、将来、ここは日本人の間で有名な観光地になるかもしれません。

一度に三カ国の風景を目にする場所

川の向こうは朝鮮

 20日午後の取材は出発する前から楽しみにしていた防川です。ここは、中国、朝鮮とロシアが接する場所。「鶏が鳴いたら、3つの国で聞こえ、犬が吠えたら、3つ国に響く」というのはまさにこの防川ことをさしています。

 車が大きくカーブを曲がると、右側に広い川が現れました。「川の向こうは朝鮮だよ」とガイドが言うと、そのとたんわれわれは一斉に川の向こうを眺めました。この川は図們江です。図們江の向こうの朝鮮にも、同じように緑でいっぱいですが、その緑はトウモロコシや水田ではなく、ただの草のように見えました。低い丘が連なり、雨と霧の中で、その風景はなんだかかわいらしくも見えます。「朝鮮の羊だ」とCRIのドイツ人記者は声を上げました。向こう岸には10数匹の羊が悠々と草をはんでいて、こちらの車など、全く気にするそぶりもありません。このように、図們江の両側に暮らすものは、人も動物も、自らのなすべきことを果たし、落ち着いた日々を送っているのだと思います。

洋館坪大堤

 さらに走ると、洋館坪大堤(堤防)という道路に入りました。この道路は琿春の敬通と防川を結んでいますが、道路の西側の図們江は中国と朝鮮の国境で、東側はロシアです。1957年、図們江で洪水が起き、この堤防が破壊されました。その後、中国人はロシアの道を借りて敬通と防川の間を行き来することになりました。1992年8月、中国政府は500万元を拠出し、この洋館坪大堤を再建しました。

 洋館坪大堤の終点は望海閣です。晴れた日には、ここから朝鮮とロシアを眺めることができるだけでなく、その先に広がる日本海も見えるとのことです。ここから日本海までは15キロですが、残念なことに、雨と霧のせいで、ロシアと朝鮮の様子、および両国を結ぶ大橋も、ぼうっと霞んでいるだけでした。それにしても、感動しました。同時に3カ国の景色を見るチャンスは誰にでもあるでもなく、しかも一生のうちに2度と見ることができないかもしれないからです。まもなく、琿春と新潟を結ぶ航路が正式に開通するので、日本のみなさん、興味があれば、ぜひこちらへ足を運んでみてください。

琿春に進出した日本企業・小島衣料

小島衣料の中 日系企業だけに日本語の表記があちこちに……

 第5日目は、延辺朝鮮族自治州の中でもさらに東南の琿春市に来ました。車窓から朝鮮の風景が見られるなど、否応なく国境を意識するところです。ここからさらに東南に2時間ほど行くと朝鮮、ロシア、中国の3国の国境を目にすることができる、図們江に面した防川という場所に出ます。ここはまさに中国の東南端であり、日本海もわずか15キロという近さで、天気さえよければ望むこともできるとのことですが……この日はあいにくの雨模様で、目の前にある国境すら危うい状態でした。

 さて、この日の午後、私たち取材団は小島衣料という服飾メーカーを訪問しました。確かに名前こそあまり知られていませんが、小島衣料が手がけているブランド名を聞けば、日本のデパートでよく見かけるものがずらり。私のクローゼットの中にもここで手がけた製品かもしれない服があるぐらいです。

副総経理の村山文夫氏

 この琿春は1992年に経済開発区に指定され、それからこの市が急速に発展を遂げることになりました。琿春がロシア、朝鮮、韓国、日本から非常に近いということから、貿易の中心地となっただけでなく、この地を製造業などの中心地にしようとすることになりました。今、ここには高速道路や鉄道も建設され、ますます便利になってきています。さらに図們江を下り、ロシア、新潟、韓国とまわる航路の開設が進められており、目下試験運行中で、まもなく正式にスタートする運びです。

 そんなところに着目したのがこの小島衣料でした。副総経理の村山文夫さんに話を伺うと、確かに最近の服の製造地は中国を離れ、東南アジア、インド方面にまで移動しているのですが(私が先日買った服はバングラデシュ製でした)、あえて中国を選んだ理由は、輸送コストの安さが挙げられるとのことです。これには海上輸送ルートの計画も視野に入れて進出を決めていました。他のメーカーが中国を去ったことや、さらに金融危機の影響で、他社が担当するものも小島衣料が加工することになったりするなど、中国に進出したことがむしろプラスになっているそうです。今、この工場には500人程度の従業員がいますが、のちには1200人まで増やしていきたいとのことです。

 ちなみに、この琿春市に暮らす日本人は30から40人程度だということですが、村山さんの話によると、中国の他の都市に比べ、比較的さっぱりとした食べ物が多かったり、空気がきれいだったりと、とにかく日本人にとっては暮らしやすい街だそうです。村山さんの話は私も同感です。今後、日本海を縦断する航路が運行するようになると、新潟まではおよそ1日。これを遅いととるか早いととるかは人それぞれだと思いますが、しかし琿春が近くなったことは間違いないのではないでしょうか。(Katsu)

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