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竜の仕返し
   2008-03-18 20:09:15    cri


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 今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。

 今日のこの時間は、中部浙江省に伝わる「竜の仕返し」、それに清の時代の怪異小説集「聊斎志異」から「蛇のお寺」というお話をご紹介しましょう。

 では、浙江省につたわる「竜の仕返し」からです。

 むかし、杭州の慶春門外に、広い荒れた土地があり朝廷のものとされていた。しかしある年、時の皇帝を補佐する大官の華太師が、なんとこの土地を己のものにするために屋敷の使用人をここに来させた。この使用人は、馬に乗りこの荒地をまわり、なんと「華之地」とかいた立て札をいくつかのところに立てた。こうしてこの広い荒地はすでに華太師の土地となったことになる。そのあと、華太師は地元の長官に命じて、いたるところにお触れを貼らせ、民百姓にこの荒れた土地を田畑にして作物を作れば、十年内は年貢を納めなくてもいいという。

 これに貧しい人たちは喜んだ。ということは田畑にした年は何も獲れなくても、次の年からは作物ができ、それからは年貢を納めるまではかなりの作物は自分たちのものになるのだ。さっそく多くの農民たちが、この荒れた土地を田畑に変えるため働きたいと言い出し、華太師の使用人が作った証文に指紋を押した。

 と、その中に、遠くから来た若い夫婦がいて、夫は考夫という。二人はいち早く落ち着き、金を稼ぎたいため、このことを耳にすると、さっそくやってきた。こうして夫婦は近くの池のほとりに草葺の小屋を作り、翌日から一生懸命働き続けた。

 やがて冬がきた。孕んでいた妻が子供を産みそうになったが、産婆さんがいるわけでもなく、考夫は慌てた。外は寒い北風が吹き、小屋の戸が何度も吹き開けられ、そのつど考夫は慌てて戸を閉めにいき、三度目に戸を閉めたとき、妻は子を産んだ。赤子の産声を聞いた考夫はこの子に三閉という名を付けた。妻はこの名に驚いたものの、何も言わなかった。

 この赤子の三閉は生まれたときから体が他の赤子より大きく、七八歳の時には物事がわかり、親の手伝いをするようになっていた。こうして三閉は父の考夫と畑で働くようになったが、三閉が畑に行くときには、どうしたことか、いつも低い空に小さな黒雲が出てきて、三閉を守るように浮き、三閉が歩き出すと、そのあとを付けるように動く。はじめ父の考夫は不思議に思ったが、何も起きないので黙っていた。

 こうして夏が来た。暑い日差しはこの黒雲のおかげで、三閉には当たらない。そして家の水がめからになると、三閉がかめの中に息を吹きかけるだけで、かめは水で一杯になったことから、人々は三閉のことを竜の子だとよんだ。

 さて、この夫婦に続いてまた多くの貧しい人々がこの池のほとりに小屋を立てたので、池の近くはやがては村となり、かの荒地も徐々に多くの田畑に変り、作物も見事にできて、それはいい眺めだった。

 ある年の春、田起こしのあと、苗を植え終わると、父の考夫は長い間の疲れがたまっていたのか、急に倒れ、しばらくしてこの世を去ってしまった。これに三閉の母はあまりの悲しみに泣き続け、目が見えなくなってしまった。こうして三閉は母の面倒を見ながら畑仕事や雇い人となり、親子二人は貧しく暮らしていた。

 それから数年後、華太師が役目を終えて都を離れ、ふるさとだという杭州に戻り、余年を送ることになった。そこでその使用人が三閉らが住んでいる村に来てみんなにここから出て行くよう命じた。これに村人たちは怒り、十年以内は年貢を納めなくともいいといったじゃないかという。これに使用人はいやな顔で答えた。

 「ふふ!それは年貢の話じゃ!それに十年以内といえば、一年でも、半年でも十年以内に入るぞ!今年でもうかなり過ぎておる。お前たちはすぐここから出て行け!」

 これに村人たちは怒ったが、使用人はつれてきた多くの手下に「それ!」と声をかけた。すると手下たちは手に刀や棒を持って村人たちの小屋を壊しはじめた。これには村人たちは手が出なかったが、ちょうど三閉の小屋を壊し始めたとき、家にいた三閉は死に物狂いでなんと使用人めがけて走りより、使用人をぶつかり倒すとその顔や手に噛み付いた。これに驚いた使用人は手下に三閉を捕まえさせ縛ってしまい、縛りに重い石を結びつけ、なんと三閉を池に放り込んだ!そして三閉の小屋に火をつけたのだ。実は中には目の見えない三閉の母がいたので、小屋は燃え、母はかわいそうに焼け死んでしまった。

 これを見た使用人は「ざまあみろ!これが歯向かう者の末路だ!」と言って手下に小屋を壊し続けさせて引き上げていったワイ。

 その後、村人たちは哀れにも焼け死んだ三閉の母を葬ったあと、池に飛び込んだりして三閉を探したが、どうしても三閉は見つからなかった。それに村人の一人は深いところにもぐり、池の底に大きな穴があるのを見たという。

 さて、村人たちが追い出された後、ここには立派な建物ができ、都から戻った華太師と家族。それに使用人など家の者が住み着いた。そしてこの日は華太師の還暦祝いだというので、地元の多くの役人や金持ちが客として呼ばれ、彼らは上段にすわる華太師の前で跪き、太師の長寿を祝った。そしてみんなが宴席に着こうとしたとき、不意に使用人が来て太師にいう。

 「だんな様。大変でございます」

 「何じゃ?こんなときに落ち着け!」

 「それが、裏庭に急に二本の白い樹が生えてきました。これは化け物の仕業では?」

 「ばかもん!化け物などいるもんか!」

 「本当に二本の白い樹が生えてきたんでございます。うそは申しません」

 「ほんとうか?うーむ!では」と太師はそこにいる役人や金持ちに、少しお待ちくだされ、すぐに戻りますと断り、使用人について裏庭にきた。これを見た役人どももいったい何事だとついてきたところ、裏庭には確かにこれまでなかった二本の柱のような樹が生えていた。そこで顔をしかめている太師にある金持ちがいう。

 「申し上げます。太師さま、あの二本の樹は太師さまの長寿を表すものでございますよ。まったくおめでたいことで・・」

 これを聞いた華太師はニコニコ顔になった。そのとき、この二本の樹の上で「ドカーン!」という大きな音がし、地面が割れてそこからなんと大きな竜が宙に舞い上がった。つまり、二本の樹は竜の角だったのだ!この竜、実は縛られ石の重しをつけて池に放り込まれた三閉で、母が焼き殺されたことを知っているのだろうか、その目は憎しみのためにぎらぎら光り、華太師や使用人らをにらみつけ、不意に大きな声を出したかと思うと、その太い尻尾で屋敷をたたきつぶし始め、庭は広がり大きな大きな池に化し、屋敷全体があっという間にぶくぶくと深い底に沈んでいった。こうして太師を始め、その家族、使用人や屋敷のもの、それにそこにいた地元の役人や金持ちも一緒に沈んでしまい、二度と水面には浮かばなかった。これを見て竜は母が葬ってあるお墓を見つめ涙を流した後、かすかにお辞儀してどこかに飛んでいったワイ。

 やがて騒ぎを知った村人たちがここに戻り、大きな池のほとりに住み着き始めた。その次の年から、ここの畑は作物がいつもより多く取れるようになり、村人たちの暮らしも徐々によくなったと。

 もちろん、人々は竜になった三閉が忘れられず、池のほとりに竜を祭る札を立てたそうな。それにこの池は元華太師の屋敷があったことから、その後は「華家池」とも呼ばれたワイ。

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