シングルスでも過去最高の成績をとり、ダブルスでは2度も世界の頂点に立つ・・少し前まで『テニス後進国』といわれていた中国にこれだけの変化をもたらしたものはなんだったのでしょうか。
まず、第一には国として、かなりの力を入れ、また日常においてもかつてないほど、厳しいトレーニングに励んでいました。
中国人選手と対戦した、あるロシアの強豪選手がいっていたのですが、とにかく中国人選手と試合をするのが嫌だと・・なぜなら、彼らは最後の最後まで驚異的な粘りを見せて戦ってくるからだと。その精神的な強さは世界級というコメントを残していました。それだけの激しい鍛錬があったからこそ、なんでしょうね。
そしてもう一つ、プロ化の発展です。これまで中国人選手は素質もあったし、技術的にも高かったが、経験が少ないといわれていました。 つまり、以前中国のテニス選手は、ほとんどがプロ選手ではありませんでしたから、4大大会をはじめとする、いわゆる賞金目的の大会には参加できなかったわけです。
しかし、近年、多くの選手がプロとして、試合に出場できるようになり、その結果、WTA、世界テニス協会が主催する試合に数多く出場し、経験をつむことが出来るようになりました。その流れが、2004年から始まったといえます。
試合に出れば、当然、世界ランクにも名が載る・・そして今回の李娜選手のように高いランクがあればシード権が与えられて、強豪選手と序盤から当たらずに済む・・その結果、試合日程にも余裕が出てくるというわけです。
また、練習相手のこともあります。世界の強豪選手たちは、あまりレベルの低い選手と練習を一緒にしたくない・・以前は中国人選手を避けていましたが、今はヒンギスなどの世界トップレベルの選手達が気軽に声をかけてきて、中国人選手を相手に練習をする・・
自分の殻に閉じこもってきたのが2004年までだとすると、2004年以降は外に向けて、門を開け放して、それによって、世界の強豪と切磋琢磨の関係が築けるようになった・・中国のテニスは歯車がいいように回転していってるという感じです。
今後の中国チームについて、中国女子代表チームのチーフコーチ蒋宏偉さんは、「ダブルスは世界ランキングのトップ10に入り、シングルスも上位30位以内に進出することができました。これは大きな進歩といえます。このような勢いでいけば、これからの試合でよい成績を引き続き残すことができるのでしょう」と話しました。
そして、テニスの国・地域別団体戦、いわばテニスのワールドカップといってもいいフェドカップで、中国勢は初めてグループ1に進出することが出来ました。その試合は来年の春から始まりますが、中国勢が世界のトップにどれだけ近づけるか、注目したいです。
中国女子チームの蒋宏偉コーチもこう意気込みを語ってらっしゃいます。
「以前は勝ったのが偶然だとよく言われました。今、私たちはこの偶然を必然に変えたのです。そして、今度は必然を勝利する実力に固めていくなければなりません。これは大変な道のりですが、今の選手達なら必ず出来ると信じています。」
当然、蒋コーチの目線の先には2008という大きな舞台があると思われます。非常に楽しみですね。(文章:王丹丹 07/17) 1 2
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