北京
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中国全土の日本語専攻の大学生を対象とする「第1回全国日本語アフレコ大会」の決勝戦が16日、安徽省の省都・合肥市で行われ、ニュース部門とドラマ・アニメ部門それぞれの一次審査を通過した30組の選手が出場しました。地元安徽省と北京市、黒龍江省、重慶市、江蘇省、上海市、天津市などの学生・教師ら計300人が出席したほか、動画サイト「ビリビリ(bilibili)」でのライブ配信を通して、ピーク時には6000人余りが同時に視聴・観戦しました。この大会は教育部傘下の日本語専攻教学指導分委員会と、中国日語教学研究会、北京外国語大学が共同主催したもので、北京外国語大学日本語学院と同大学の合肥国際学院が運営に当たりました。また、後援には外語教学と研究出版社、早道教育(はやみちきょういく)社、そして日本航空(JAL)などが名を連ねました。
大会進行役は北京外大日本語学科3年の周寅培さん(右)、董林さん(左)
会場の様子
ニュース部門 発表の様子
ドラマ・アニメ部門 発表の様子
北京外大の賈徳忠副総長は開幕式で、「新時代を迎えて、大学の日本語教育は新しいチャンスとチャレンジにさらされている。新時代にふさわしい専門人材を育成する新たな道筋を模索するため、交流と発表の場を作り出していく。この大会もその一つである」と、開催に寄せる期待を述べました。
北京外国語大学副総長・賈徳忠教授
本大会は中国初の全国規模の日本語アフレコ大会として注目されています。北京外国語大学日本語学院が、学生たちがサークル活動として自主的に行なっていた「アフレコ」に着目し、大会の開催を決定しました。同学院がSNSを通して募集を呼び掛けたところ、3カ月で約100大学から応募作品532点が集まりました。一次審査の結果、ニュース部門13人、ドラマ・アニメ部門17組が合肥で開催される決勝戦に勝ち進みました。選手たちは、決勝当日の3日前に課題として提供された音源(映像)に合わせて、日本語のセリフの流暢さ、画面との同調性、表現力などを競い合いました。
<NHK>2020応援ソング「パプリカ」の大合唱で会場を盛り上げる安徽三聯学院日本語学科の学生たち
競技は午前にニュース部門、午後にドラマ・アニメ部門が行われ、主催側に招かれた審査員らによる審査のほか、来場者とライブ配信の視聴者による人気投票も同時に行われました。ニュース部門では国際関係学院の袁珵選手が、ドラマ・アニメ部門では北京外国語大学の薛芸珊&呉忠璇チームと重慶師範大学の朱星宇選手が、それぞれ最高賞の特等賞に選ばれました。中日両国の教育、出版、メディア、企業界からの代表8人からなる審査員らは、いずれも選手たちの日本語能力の高さと表現力の豊かさを称えました。審査員を務めた日本航空北京支店の田中雄作総務経理は、「中国人学生の豊かな感性を両部門の参加者から感じ取ることができた。皆さんの熱意と、それを支えている(会場の)多くの人の姿を見て感動した」と述べました。
国際関係学院・袁珵選手
重慶師範大学・朱星宇選手
北京外国語大学・薛芸珊&呉忠璇チーム
授賞式の様子
今大会の特徴であるニュース部門とドラマ・アニメ部門に分けての開催について、教育部傘下の日本語専攻教学指導分委員会で副主任を務める邱鳴教授は「斬新な形式だ。日本語力の披露と個性の発揚の両方を重視していることが分かる。学生たちの学習意欲の向上につながることが期待できるだろう」と評価しました。
邱鳴教授
なお、同じく審査員を務めた中国日本語教学研究会会長の周異夫教授によりますと、現在、中国の500以上の大学に日本語専攻のコースがあり、日本語学習者の総数は100万人を超えているということです。また、安徽省日本語教学研究会会長の金哲教授によりますと、開催地の安徽省だけでも12大学に日本語専攻が設けられており、省内の日本語学習者は1万5千人に上るということです。周教授は「言葉は相手国を知るための窓口だ。日本語の学習を通して、日本の社会や文化を深く理解し、両国の相互理解に役立てる人材がたくさん育つことを願っている」と期待を語りました。
周異夫教授
主催側代表である北京外国語大学日本語学院の徐滔院長は、アフレコが持つ、学生たちの日本語学習意欲を引き上げる効果を評価し、「初の大会開催で得た経験を、今後の学生たちの指導にも生かしたい」と述べ、来年以降の開催にも意欲を見せました。
出場選手・指導教官・審査員・主催者代表の記念写真
(取材:王小燕、梅田謙、写真提供:北京外国語大学)