北京
PM2.577
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(左)虎子(シャオフー)さん(右)有吉須美人さん(撮影:梅田謙)
聞き手:王小燕、梅田謙
今回のメイン・ゲストは先月北京をはじめ、中国の8都市をツアーしたシカゴ在住の日本人ブルース・ピアニスト、有吉須美人さんです。
有吉さんは「アリヨ(Ariyo)」の愛称で知られ、シカゴのブルースマンたちに認められることで、東洋人として史上初のシカゴ・ブルース殿堂入りを果たしました。シカゴ・ブルース・ピアノの第一人者として、世界最大のシカゴ・ブルース・フェスティバルにこれまで30回以上参加。現在はアメリカ、ヨーロッパをはじめ、世界各地で年間約200本のライブをこなしています。
ブルース・ミュージックは「ジャズのお兄さん、ロックのお父さん」とも呼ばれることから分かるように、現代音楽の中でも最も歴史のあるジャンルの一つです。中国ではロックや歌謡曲の盛んな時期がありましたが、ブルースのブームはまだ起こるに至っていません。そんな中でも大都会を中心にブルースに目覚めた若者がいます。
その一人が、日本語を専攻していた大学時代にブルースの魅力に取りつかれたという、虎子(シャオフー)こと卜暁虎さんです。2016年、本場のブルースを求めて音楽仲間と3人でアメリカへの旅に出かけた虎子さん。「英語に自信がない」と言いながらもバツグンの行動力を発揮し、行く先々で本場のアーティストたちとの交流を深め、ついにシカゴのライブハウスで憧れのアリヨさんに対面します。この出会いが、その後のアリヨさんと中国との交流をスタートさせました。
7月25日、ブルーノート北京で演奏中のアリヨさん(撮影:陳介従)
7月25日、天安門のすぐ南、前門駅近くのブルーノート北京でアリヨさんのライブが開かれ、今回の中国ツアーが封切られました。初日は約240人の観客で満席となりました。この日のステージではジミー・ロジャースの名曲「シカゴ・バウンド(Chicago Bound)」のほか、オリジナル曲としては「Ariyo's Stomp」や、日本語混じりの歌詞でブルースの発祥地・シカゴを歌った「Windy City」などが演奏されました。
開演の前に、CRI日本人スタッフの梅田謙さんと一緒に、楽屋でアリヨさんにインタビューしました。中国との縁や生い立ち、そして、ルーツが黒人音楽であるブルースのどこに惹かれたのかについて、ざっくばらんにお話を伺いました。
また、中国8都市ツアーの様子については、先週、北京に戻ったばかりの虎子さんに紹介してもらいました。
2019年7月、広東省広州市・Jz Club広州でのライブ(撮影:陳介従)
7月末、甘粛省武威市で開かれた「2019民勤砂漠国際ジャズフェスティバル」の会場
(撮影:虎子)
2019民勤砂漠国際ジャズフェスティバルでのステージ
(写真:フェス主催側提供)
世界に名を馳せるブルース・ミュージシャンのアリヨさんと中国の若者との交流はまだまだ始まったばかり。その一端を垣間見ていただければという思いで、今日の番組を企画しました。ぜひお聴きください。
【プロフィール】
有吉須美人(ありよし すみと)さん
京都生まれ。1976年に高校卒業
1983年に初めて渡米。その後、シカゴ・ブルース発展の最大の功労者――ジミー・ロジャース(Jimmy Rogers)のバンドにレギュラーメンバーとして加入、シカゴ・ブルースの代表的ミュージシャンたちと並んでプレイする。
1988年、“Otis Rush”ヨーロッパ公演に参加後帰国。日本ではソロ活動や自己名義のバンド“Ariyo’s Shuffle”を率いる傍ら、憂歌団、ウエストロード・ブルースバンド、近藤房之助、上田正樹、甲本ヒロトらとセッション。
2000年に再渡米。グラミー賞に三度ノミネートされたシカゴ・ブルース界のレジェンド、ビリー・ブランチのバンド“Billy Branch & The Sons of Blues”に加入。
2016年6月、ブルースの旅でシカゴを訪れた中国人ブルース愛好家・虎子(シャオフー)と初対面。それがきっかけで同じ年の11月、中国を初訪問。その後、ビリー・ブランチとのコンビによる初の中国公演などを行うなど中国での継続的な活動に力を注ぐ。2019年9月に5度目の中国訪問を準備中。
この番組をお聞きになってのご意見やご感想をぜひお聞かせください。メールアドレスはnihao2180@cri.com.cn、お手紙は【郵便番号100040 中国北京市石景山路甲16号中国国際放送局日本語部】もしくは【〒152-8691 東京都目黒郵便局私書箱78号 中国国際放送局東京支局】までにお願いいたします。皆さんからのメールやお便りをお待ちしております。
<リスナーのお便りから>
★東京都大田区・三輪徳尋さん
ブギピアノにこだわったシカゴブルースの殿堂入りのその道の有名人のインタヴューがCRIで聞けるとは思いもよらず驚きました。私としては、どちらかというとジャズを聞いていながら、その中で時々聞くことがある音楽としてのブルースで、余り聞かな無い分野でありながら幾度か聞いたことがあるプレーヤーです。
特徴的なブギピアノが良いので、今のようなスタイルでのライブが好みです。あまり大きくないブルーノートのような会場で、さらに言うなら、もっと酒場の様な環境で、グランドピアノではなく、少し調律がくるっているようなアップライトピアノでの演奏のほうが感動が伝わりそうだとは思います。ブルースの演奏がきれいすぎるとハートは伝わらないようにも思えます。
砂漠の大きな会場でのライブでプレーヤー楽しめたのならば、ブルースとしての完成度はとにかくとして、おもしろいステージだったのかと思います。その時のライブ演奏の音源をどこかで聞いてみたいと思います。
久しぶりに今晩はボーカルの入ったジャズを聞こうかと思います。ブルースになると、BGMとしてながしていると聞き入って、ながらにはむかないかな。