北京
PM2.577
23/19
去る七月、カナダは国際貿易省を国際貿易多様化省に改名した。その目的は、米国への過度の依存を避け、より多くの国家と貿易関係を結ぶことにあり、その多様化の目標の一つに中国市場がある。
しかし、最近締結された『北米自由貿易協定新協定(USMCA)』を見ると、カナダは米国への依存を減少できていないどころか、その他の貿易対象国との貿易交渉の自由さえ失う結果となっている。これはUSCMAの第三十二条に記されている「もしもいずれかの国が『非市場経済国家』とFTAの締結を結ぶならば、その他の国家は六ヶ月以内にUSCMAを脱退することができる」に依るものであり、本条項は中国を対象にしたものと広く理解されている。
ロス米商務長官はこの第三十二条を「ポイズンピル」と呼び、更にこの条項を米国がこの先日本やEU及びEU脱退後の英国と結ぶであろうFTAにも適用されるよう模索している。では、米国はその願いを成就させ、排他的な貿易システムを構築し、中国を孤立させることができるのだろうか。
米国のボイズンピルが仕込まれたこの協定は、自由度も公平度もない、まさに「アメリカ・ファースト」「米国を再度偉大に」の原則の下に作成された不平等条約と言える。
今回の新協定については、カナダ商工会議所のペリン・ビーティー会頭も「我々は特定の貿易市場に依存し続けるわけにはいかず、恣意的な、不公平な貿易手段から自らを守るためにも、多様な市場を開拓していかなければならない」と述べている他、圧力の中、フリーランド加外相も先頃、王毅国務委員兼外交部長に対し、「カナダ側は自らの意思で他国とのFTA交渉を進めていく。中国を含めた各国ともルールに基づく多国間貿易システムを堅持し、貿易保護主義には反対していきたい」と述べている。
それにしても、その他の貿易相手国は米国のポイズンピルを受け入れるのだろうか。米国は既に日本に対する圧力をかけ始めており、ロス米商務長官は「日本は製造業の拠点を米国に移転し、四百億米ドルの自動車貿易黒字の削減に努めるべきだ」と発言、パーデュー米農務長官も先頃、日本に農業市場の解放を求めた際、「米国は長期にわたり日本を守り続けてきた」という「不愉快な事実」を包み隠さず指摘した。第二次世界大戦以降、米国は日本に五万人規模の部隊を駐屯させており、この発言は日本にみかじめ料を求めているようにも聞こえる。こうした要求に加え、ポイズンピルが加わるとなると、中国を最大の貿易相手にもつ日本は辛い立場に追い込まれることになろう。
そして、中国は今経済成長モデルの転換期にあり、国民の消費レベルを向上することで経済成長のクオリティを向上しようとしている。予測によれば、今年の中国の消費市場は米国と肩を並べるか米国を超えて世界の首位に経とうかという位置にあり、それと同時に、中国は今年も世界百二十の国と地域の最大の貿易パートナーとなりつつある。世界中のどの国を取っても、中国との貿易を進める機会を手放す意思は見受けられない。それは例えば、BMW社が先頃、中国市場に三十億ユーロを投じると宣言したことや、エクソンモービル社が先頃中国で百億米ドルを投資する協定を結んだこと、テスラ社が上海に海外初の大規模工場を新設することを宣言したことにも表れている。
中国は「ウィンウィン協力」の原則を提唱、実践し、米国は「アメリカ・ファースト」と「ゼロサムゲーム」を謳っている。世界の発展がどちらのルールによるべきものかは自明の理だ。二国間関係において、米国はその実力で他国を苛むことはできるかも知れない。しかし、各国が正常、正当、正義の原則の下に貿易と外交における選択を下すことを止められはしないだろう。(CRI論説員 許欽鐸)