北京
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商務部が公表したサービス貿易統計によれば、今年7月までのサービス貿易の総額は同期比9.9%増の2兆9754億元となり、記録を塗り替えたほか、対外貿易(貨物貿易とサービス貿易)増額の15%を占めた。そのうち、輸出は14.6%増、輸入は7.7%増となり、赤字は昨年同期比で371億元縮小している。
世界の貿易が保護主義の影響を受ける中、中国のサービス貿易が10%近い成長速度を見せたことは、安定の中での好調化と成長の流れが定着傾向にあることを表すものだ。さらに重要なのは、サービス貿易の構造合理化が進み、新興サービスの輸出入の伸びが目覚ましいことだ。
今年に入って以降の7ヶ月、新興サービスの輸出入総額は9888億4000万元で、20.3%の増加を示し、全体の成長スピードを10.4ポイント引き離している。成長ポイントに関して見ると、中国のサービス貿易革新発展テスト地区がサービス貿易の重要な牽引役となっていることがわかる。17のテスト地区のサービス貿易の合計が全国の総計に占める割合は76.4%となっており、サービスの輸出と輸入の成長スピードはそれぞれ24.3%と13.5%と、全国平均を上回る。他にも、東部地域と西部地域は中部と東北地域に比べその伸びが速く、それぞれ12.9%と11.6%の伸び率を示す。
貨物貿易が大幅な調整場面を迎え、経済運営が安定の中に変化を含む新たな情勢の下、中国の新たな対外貿易と経済の成長点としてのサービス貿易の高速な発展は、中国にとっても世界にとっても重要な意義を持つものだ。その視点は次の三点に集約される。
先ず、サービス業とサービス貿易そのものについて謂えば、中国は長期にわたってこの領域では遅れをとっており、輸出能力に問題を抱える点である。
また、国民の消費性向が変化し、ハイクオリティなサービス貿易製品へのニーズが高まりを続け、貿易赤字が伸びを強める。こうした長期の不均衡な発展は、産業のモデルチェンジと消費のアップグレードのもたらした必然的な結果ではあれ、次段階のサービス業の対外開放に大きなリスクをもたらす。
その中で、今年上半期、中国のサービス貿易は2010年以来初めての半期赤字縮小を実現し、7月にはその流れが継続しそうな様相を見せている。これは、中国のリスク対応能力とサービス産業の国際化水準の向上を利するものだといえよう。
次に、中国はサービス貿易利便化の制度構築において、既に複製と普及の可能なノウハウを有しており、全国での普及が可能であり、これは対外貿易の継続的発展を利するものである点である。
2016年初頭、国務院が『サービス貿易革新発展テスト地区プラン』を公布、天津、上海など15地区でのサービス貿易の革新発展テスト地区の開設を許可した。それから2年余、サービス貿易の革新発展はマネジメント体制、管理監督モデル、新業態と新モデルなどに関し29の複製と普及の可能なノウハウを形成している。
これは、サービス貿易の対外開放を進め、サービス貿易の伸び代を示すものとなろう。
最後に、サービス貿易はその質と収益の向上を遂げており、経済構造の合理化とハイクオリティな発展に新たな支点を提供している点である。
新興サービス貿易は技術、資本、知識密集型サービス産業との関連が強く、その高速な成長は、ビッグデータ、クラウドコンピューティング等、戦略性新興サービス業や科学技術サービス業の速やかな成長を利するものであり、中国が複雑に入り組んだ情勢の中での経済の安定成長を力強く支える存在となろう。
そして何より、こうしたサービス貿易の拡大開放、そして安定成長を遂げる中国経済から、世界経済は今後も引き続き力強い成長の源泉を汲み取っていくこととなろう。(作者 李馥伊(中国マクロ経済研究院対外経済研究所博士))