北京
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ロシアのプーチン大統領は22日、米国による新たな制裁に対し「逆効果でまったく意味がない」と述べた。こうした政策は必ず失敗に終わるのでロシアとの関係を正常に戻すように、と呼びかけている。
米国はおととい、ロシアの複数の団体や個人、船舶を対象にした新たな制裁を発動した。経済学者はおおむね、ロシア経済は欧米からの長期的で度重なる経済制裁で疲弊している、との見方を示している。長引く制裁と対抗措置の中、ロシアは今は米国に太刀打ちできないが、プーチン大統領の姿勢やこのところのロシアの動きを見ると、大統領は何らかの策を講じつつあるようだ。 まず外交面で、イランやトルコ、あるいは米国の伝統的な同盟国との連携を強化し始めている。
米国は今月に入り、イランに対してエネルギー以外の分野での制裁を再開し、またトルコにも制裁を加えている。イランへの制裁再開後、ロシアは国を挙げてイランと経済連携を進めると高らかに宣言した。そして13日にラブロフ外務大臣がトルコのアンカラでチャヴシュオール外務大臣と会談し、「米国がトルコに制裁をしてもロシアとトルコの協力には支障ない」と述べ、両者ともに米国を非難した。 18日には、プーチン大統領がドイツのベルリン郊外でメルケル首相と3時間に渡り非公開の会談をした。前回の会談は3カ月前であり、今回は米国の制裁を受けた際に共同で実施する対応策について話し合った。 そして2つ目の策は通貨である。仮に制裁や対抗措置を戦争とするならば、ドルを削減して自国通貨で決済するのは有効な攻め方ではないが、少なくともロシア経済はドルへの依存度をある程度軽減できる。
ラブロフ外務大臣はトルコとの会談で、米国が他国に制裁を行えば、最终的に「国際決済通貨としてのドルの地位が低下する」と指摘した。米財務省によると、ロシアの米国国債保有量は今年3月から5月の間に961億ドルから149億ドルに急落したとのことである。 この2週間、ロシアの複数の政府高官が、これからは貿易の際に自国通貨で決済する割合を増やしていくと強調した。事実このところロシアは、ユーラシア経済連合(EEU)や上海協力機構 (SCO) などの国際的枠組みで、貿易の際に自国通貨決算を取り入れている。 3つ目の策は、おととし6月にサンクトペテルブルクで行われた国際経済フォーラムで、プーチン大統領がEEU、インド、中国、CIS各国などに結成を呼びかけた、「大ユーラシア」計画である。こうした構想は、ロシアはすでにヨーロッパの一部ではなく「アジアの一員」であると認識し始め、外交戦略の重心を東へと移動させていることを意味するものである。 プーチン大統領は、「大ユーラシア」へのEUの加入を歓迎している。ロシアは、米国との関係が構造的かつ妥協困難な対立状態であることから、このような策は、あるいは米国の制裁にあがなう最良の「長期作戦」かもしれない。(国際鋭評コメンテーター)