北京
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クブチ砂漠は内蒙古自治区オルドス市の北部を横断する、総面積1万8600平方キロメートルと、中国で7番目に大きい砂漠です。しかし今、衛星写真で見てみると、この地が緑色に覆われています。
30年前まで、クブチ砂漠周辺に暮らす農牧民の年収は400元未満で、どの家庭も日干しレンガ造りの背の低い家に住んでいました。そこで春になって黄砂が起きれば、家が砂に埋まってしまい、ドアが開けられないという状態です。当時の交通手段といえばラクダで、100キロ離れた場所へ行くには往復で6日間もかかっていました。
そこで政府の主導により2006年に36世帯が、企業によって建設された牧畜民のための新たな村・ダオトゥガチャ村へと引っ越しました。
改革開放が深まるにつれて、クブチ砂漠における生態環境の改善と建設も佳境に入りつつあります。これまで、農牧民の手によって、植樹から大規模な生態環境の復旧、集約的な養殖産業と環境業が推進されてきました。現在、ダオトゥガチャ村の牧畜民の世帯あたりの年平均収入は12万元に達しています。
クブチ砂漠で砂漠化対策を行っている主な企業が億利グループです。同社は2004年から市場化された請負制によるエコ栽培プロジェクトを通じて、農牧民を砂漠化対策に参与させることで、エコ産業を推進してきました。
億利グループには現在、農牧民からなる栽培チームが232組あり、これによって現地住民10万2000人を貧困脱出へと導いてきました。現在、億利グループのような砂漠化対策や砂漠関連産業を実施する企業はすでに80社を超えています。
2012年の中国共産党第18回全国代表大会(十八大)以降、クブチ砂漠のあるオルドス市も政策的なサポートを強化しており、造林、放牧の禁止、牧畜民のための新村建設、エコ観光業の支援などによって、農牧民が出資、土地の貸出し、就労など多様な方式で生態環境づくりに参与することを奨励しています。
統計によりますと、2011年から2015年までの期間に政府と社会がオルドス市の生態環境づくりと改善に投入した資金は191億元を超えたということです。これは、新中国が成立した1949年から2011年までの同市の総投資額のなんと50倍に相当します。
「政府による政策上のサポート」「企業による産業化への投資」「農民・牧畜民による市場化への参与」というモデルの下、クブチで砂漠化対策が実施された面積はこれまでに6000平方キロメートルに達し、緑化面積が3200平方キロメートルを超え、生態環境保護に起因する財産が5000億元、雇用が100万件創出されました。
クブチの砂漠化対策は2017年に国連宣言に記載され、世界の砂漠化対策のモデルと見なされています。(ヒガシ、謙)