北京
PM2.577
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今年3月以降、中米貿易摩擦は変化が多く、中米関係ないし世界経済に不安定要素をもたらしています。「貿易戦争」が一度引き起こされると、中米双方ともに損失を蒙り、5つの潜在的で巨大な利益を失うことになります。一方で、双方が共に努力すれば、世界貿易史上の奇跡を起こす可能性もあります。
米国による貿易戦で失われる5つの潜在的な利益とは以下の通りです。
一、中米両国における幅広い協力の可能性
2013年に行われた研究結果によりますと、中米が協力し、自由貿易協定(FTA)を推進すれば、輸出入貿易額は5000億ドル増え、480万の就業機会が生まれます。両国は伝統貿易の輸入超過を止め、前向きな態度を取らなければ、双方のより緊密した協力と融合の見通しは立たないということです。
二、両国の世界産業チェーン分業による巨大な利益
米国の301条調査による中国制裁は世界産業の信用チェーンを断ち切ったことになります。その後、産業チェーン、サプライチェーン、バリューチェーンを失います。その結果、グローバル化による役割分担、協力、貿易および各国が得るはずの利益のすべてを失うことになります。
三、世界経済の回復や緩和の歴史的な機会
世界経済は2017年から回復し始めています。世界の75%の経済体は発展の趨勢を見せており、世界経済は正常な発展段階から迅速な発展段階へと変わる軌道に乗っています。中米貿易摩擦が解決できなければ、世界経済の回復を妨げることになると見られています。
四、長年にわたる国際秩序とルールの権威性と約束の力
現在、世界貿易機関(WTO)は発足後、最も難航している時期にあります。一部の国は一国主義で多国主義へ代わろうとし、国内規則によって国際ルールに取って代わろうとしています。米国の行為は中米両国と世界の秩序に大きな影響をもたらします。1974年から、米国は通商法301条に基づき、35カ国に対して貿易制裁125件を実施したことがあります。WTOは1995年発足して以降、米国の制裁がWTOのルールに違反しているため、一度阻止しました。しかし、米国は再び通商法301条で中国の製造業、ハイテク産業、軍用・民間融合発展などの産業を制裁し、世界の秩序を大きく乱しています。
五、米国の強大な中国市場
中国の市場規模は2017年、米国とほぼ同じレベルになりました。中国市場は年間13%の成長率で発展し、近いうちに世界最大市場になる見込みです。向こう5年間、中国の輸入額は10兆ドル増える見通しです。米国による「貿易戦争」によって、必ず中国の巨大な市場と巨額の利益を失うことになります。
貿易摩擦は両国ないし世界にもマイナスとなります。両国は5つの面から力を入れていくのであれば、奇跡を起こす可能性もあります。
一、米国のハイテク製品の輸出を緩和すること
それによって、中国は1000億ドルの輸入を増やします。
二、両国はイーコマースを含むデジタル経済をともに推進すること
2017年、米国のクロスボーダーイーコマースの貿易額は11兆6000億元である一方、中国は4兆6000億元に上っています。クロスボーダーイーコマースや、デジタル貿易の協力を行えば、中国は少なくとも1000億ドルの輸入を増やすと予測されています。
三、BIT(二国間投資協定)交渉を推進すること
2016年、中国企業の対米国投資は456億ドルに達しました。米国がBIT交渉で中国企業投資をめぐる制限を緩和すれば、毎年の投資額増加は456億ドルを大きく上回ることになります。
四、『一帯一路』協力を強化すること
『一帯一路』枠組み内におけるインフラ施設の投資や、第三者市場の共同開発を強化します。特に米国のハイテク企業はリスク予防の役割を発揮する必要があります。『一帯一路』沿線国市場を開発するほか、大きな利益を得ることになります。
五、中米FTAの締結を推進すること
締結によって、双方の貿易額は5000億ドル増えます。中米双方が様々な角度から手立てを講じれば、中米間貿易の奇跡を起こせることになります。
(中国国際経済交流センター 陳文玲)
(翻訳:殷、星)