北京
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自動車業界の外資参入緩和、輸入車を対象とする関税の引き下げなど、中国政府が自動車産業の対外開放政策を矢継ぎ早に発表し、世界を驚かせたことは、記憶に新しいところです。こうした自動車業界の開放拡大は、世界にメリットをもたらすことは当然のことですが、それと同時に、政府が中国の国産メーカーにアップグレードを迫る狙いを感じ取る向きも業界内にはあるようです。
工業と情報化部の陳因報道官は、「2018年には、特殊車両やEV車の外資参入比率が撤廃される。商用車企業は2020年に、乗用車は2022年に外資出資制限を撤廃することが予定されている。また、EV車企業の新設についても、同一企業が設立する合弁会社が2社以内に限られていた制限も撤廃される」と述べました。
こうした予見性のある一連の措置は、将来数年にわたる開放政策のロードマップを示すものであると同時に、過渡期を明確にするものでもあり、業界は衝撃を隠せないながらも概ね歓迎姿勢を示しています。自動車業界アナリストの賈新光氏は、「保護は競争力をつけることにはならない。開放姿勢こそかえって競争を促すことになり、国内企業の成長にもプラスとなる。このタイミングを選んで発表したのは、改革開放をさらに進めるという信念の現れであり、世界にわれわれのやる気をアピールすることにも繋がる」と分析しています。
統計によりますと、中国の自動車販売量は9年連続で世界一となり、量的には米国、日本、ドイツと英国のマーケットの総和に等しい世界最大のマーケットを形成しています。加えて、EV車の生産、販売量でも2年連続で世界一になりました。また、目下、世界の大手自動車メーカーは全て中国に合弁企業を設置、かつ好成績を収めています。またその一方では、国内メーカーも海外進出に積極的に取り組んでいます。例えば、ジーリー自動車はボルボ、プロトンを買収し、ダイムラーの筆頭株主にもなっています。
WTO加盟から20年、中国の自動車産業は開放に向けた市場競争の中で、一定のシステマティックな力を擁するようになっています。中国自動車流通協会の羅磊事務局次長は、「自動車の製造技術については、中国は20年の蓄積でどん底を抜け出し、自主開発能力、そしてコアとなる知的所有権を積み重ねており、国産メーカーの製品のクオリティも大いに向上している」と述べています。
今回の措置では他にも、乗用車に対する輸入関税の引き下げが検討されています。関係者によりますと、国務院は輸入車に課している税率を現在の25%から10%または15%に下げる法案を検討中ということで、これは早ければ今月にも決定が発表される可能性があるとしています。これに対して前出のアナリスト賈新光氏は、「この関税の引き下げプラス外資出資制限の撤廃で、競争はより激しいものとなり、国産メーカーのブランディングにも必ずや影響を及ぼすことになる。特に値下げのプレッシャーが大きいことは、国内マーケットで弱肉強食の淘汰が進む引き金となるだろう。しかし、これは正常な現象であり、我々が望む結果でもある。国内マーケットには沢山の国内企業とブランドが存在するが、真に競争力を備えたブランドはそれほどないのが現状だ。我々は国際的な競争力のあるブランドが勝ち残ってくれることを期待している」と述べています。