◆北京における将棋の普及とキーパーソン
中国における日本将棋の普及は1990年代半ばから始められました。中国棋院と日本将棋連盟が、互いに相手国の将棋(日本将棋と中国象棋)を普及することで合意したことがきっかけだと言われています。あれから十数年が経った現在、日本将棋の心得がある人口は北京では7万人、上海では40~50万人に上ると言われており、このほか、広州、寧夏、ハルビン、昆明などでも教室が開かれています。
ところで、北京における日本将棋の普及は、2人のキーパーソンの献身的な働きを抜きにして語れません。元小学校教師の李民生さん(66)と元豊田通商株式会社北京代表の袴田勇(はかまた いさむ)さんです。
1995年、中国棋院の招きにより、日本のプロ棋士が崇文区少年宮で将棋の講座を聞きました。当時、少年宮で小学生を相手に中国象棋を教えていた李民生さん(写真左)も受講者の一人でした。
当時、日本将棋が中国でほとんど知られていなかったため、最初は生徒の募集に苦労したそうです。小学校を歩きまわって参加を呼びかけたり、象棋教室から引き抜いたりして、1回目のクラスは12人の小規模なものからスタートしました。
「1996年から、週1回の将棋教室を開き、いまも続いている。小学生を中心に、常時100人規模の受講生を抱えている。最初の頃に指導した子どもはもう大学生や社会人になっている。こうした以前の教え子たちもこのイベントの手伝いに来てくれている。来年はこうした社会人向けの対局も行いたい」と次回の大会に向けた意気込みを語る李さん。その顔は達成感に溢れていました。
そして、ほぼ孤軍奮闘していた李さんを力強くバックアップしたのが、当時北京駐在の日本人サラリーマン・袴田勇さん(豊田通商社北京事務所、写真右)です。
「1996年、北京赴任前に、東京でプロの棋士たちによる送別会が行われた。その時に李先生たちのことを聞いた。北京に来てから、少年宮へ子どもたちと将棋を指しに行き、自宅でも遊ぶようにしていた。その時、一緒に遊んでいた子どもたちは今、毎年の春節、会いに来てくれるので嬉しい」。
定年退職をして、今は日本で暮らしている袴田さんにとって、毎年の楽しみは、春節の際に北京を訪れることだそうです。また、今夏は広州から試合のため訪日する子どもたちの受け入れなどもあり、将棋の普及活動のために精力を注いでいます。
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