村人:「アーティスト大歓迎!」
宋庄散策の面白さは、のどかな農村風景とアバンギャルドな近代美術館・画廊を同じ空間で同時に見られることです。なんの変哲もない北方の農村風景かと思えば、そのすぐ近くには、超現実的な奇抜な建物がそびえ立っていて、幻想的な空間を作り出しています。
2003年から、地元政府は村おこしに現代アートを生かそうと積極的に動き出しました。アーティスト向けの不動産業、飲食業、物流、輸送などの発展で、経済が潤ったため、地元住民はアーティストの到来を好意的に受け止めているようです。
今、三輪車タクシーの運転手をしている辛さんは、宋庄小堡村の住民です。これまでは、家族6人で、約40アールの農地でトウモロコシや小麦を植えて、生計を営んでいました。今は美術館や工場用地のため、保有していた農地がすべて収用されましたが、その代わり、土地運用収益として、村から年間1人あたり1万元の配当が配られると言います。このほか、三輪車タクシーによる収入は毎月2000元ほど。さらに、村の発展につれ、各地から殺到してきた出稼ぎ労働者向けの家賃収入もあるので、以前よりも暮らしがずいぶん楽になったと喜んでいます。
辛さんの三輪車は「小堡村広場」前の目抜き通りを走っていますが、「4年前まではここはまだ土の道路でした。村の変化は、その前後から一気に起こったものです」と振り返ります。
「道路が整備され、新しい建物が次から次へと建ち、見る見る、村が知らない町に変わりました。外来者も一気に押し寄せ、どこの家にもこうした出稼ぎ労働者たちが間借りして暮らしています。こうした変化は村に良い面とマイナス面をそれぞれもたらしましたが、比べてみればやはり良い面がずっと多いように思います」。
村人の現代アートに対する態度も変わったと辛さんは語ります。
「私はアーティストたちを歓迎します。中には、変わった人もいますが、総じて言えば、気楽に付き合える人が多いです。時間があれば、私もギャラリーに行って絵を見たりしています。子どもは今年5歳ですが、もう美術教室に通わせて、絵の勉強をさせています。以前なら、絵に興味を持つ人が少なかったですが、今は、子供に絵を習わせることが村の流行ですね。」
わずか30分で高層ビルの林立する北京のCBDに乗り入れる宋庄。現実的な空間と超現実的な空間が入り混じっているこの現代アートの拠点に、皆さんも一度は足を運んでみてはいかがでしょうか。
アクセス:地下鉄大望路駅から「938支9」バスに乗り、「宋庄」もしくは「小堡村商業広場」で下車。道路の両側にアトリエや美術館が散在し、自由に散策できます。バスの所要時間は約30分、ICカードを使えば運賃は1.2元。
宋庄の関連ページ http://www.chinasongzhuang.cn/
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