アーティストの語る宋庄
広場から直近距離にあるアトリエ「国防工事芸術区」に入ってみました。ここは人民解放軍の司令部の場所だったようですが、今はアーティスト向けの貸し出しアトリエに整備されています。
どこまでも黒いレンガ造りの2階建てが続いていました。軒が連なっている回廊式の建物で、2階のテラスの縁に沿って、色とりどりのパンジーの花の植木鉢がきれいに並べてあり、ちょっとした空中庭園に身を置いた気分です。
入り口の看板に、入居中のアーティストの名簿が公表されていました。
扉が半分開いたままのアトリエに足を踏み入れてみました。主人の孫吉祥さんは北京生まれで、温厚な人柄です。水墨画の手法を油絵に生かした画風で、京劇役者と蓮の花を描き続けている画家です。
「京劇は私の好きな伝統芸能で、ハスは『君子』の代名詞で、今の社会に一番求められているものではないかと思って、描いています。」
孫さんは毎朝8時半、自宅のある通州から電気自転車に30分乗って、アトリエに通っています。昼食は家族が届けに来てくれ、毎日、夕方6時頃までここで創作活動を続けています。
「一番の魅力は自由が利くことです。美術学校や勤務先だと、どうしても上司や周りの人があれやこれやと口出ししますが、ここだと誰にも邪魔されずに、描きたい絵を自由に描けるので、まるで桃源郷です。」
170平米のアトリエの家賃は月2500元(約4万円)。家賃が安いだけでなく、「絵の運搬や物流など各種サービスが行き届いている」と孫さんはハードウェアにもすっかり満足の様子。ただ、「金融危機の影響で、昨年10月から相場はピーク時の半分以下に落ち込みました」。そうは言いながらも、「クウェートにある中東美術館から出展の誘いがあり、今、それに向けて創作をしている最中です」と孫さん。
北京のはずれにある宋庄は、広い世界に通じる窓口でもあります。
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