前回に続いて、「崑曲、中日両国文化交流の架け橋――赤松紀彦日本京都大学教授(2)」をお届けします。
インタビューに答えている赤松紀彦教授
――崑曲は中日両国の交流にどんな役割を果たしていますか。
崑曲というのは非常に上品な感じがします。ですから、例えば、京劇というのは、すごく見かけが派手で、パット好きになる人がいます。しかし、崑曲というのはある程度何回も見たり聞いたりしていますと、だんだんその美しさが分かっていくというところがあります。そういう点では、例えば、日本の伝統的な庭園、それから能楽みたいな伝統的な演劇なんかもそうです。最初は刺激が少なくて、ちょっと物足りないところがありますが、何回も見たり聞いたりしているうちに、だんだんと染み渡ってくるようなそういう美しさがありますよね。崑曲も似たようなところがありますから、そういう点では、日本人にとってはやっぱり好きになると離れられなくなるというところがあると思います。例えば、その坂東玉三郎さんの公演にしても、やはり日本と中国との文化の交流の上で、非常に大きな意味があると思います。日本人はもともとすごく崑曲がすきです。実は1928年に、韓世昌という中国の有名な役者が日本に来ていました。そのときの話題としては梅蘭芳さんが非常に有名だったんですが、日本ではその韓世昌氏の崑曲がすごく評判になっていました。
笛を吹いている赤松紀彦教授(右1)
――香港都市大学の教師は、大学生を対象に、崑曲についてのアンケート調査を行いました。その結果、8割近くの大学生が崑曲のことを全く知らなかったそうです。今の若者は崑曲のような伝統的な芸術にあんまり興味がないように思いますが、伝統を引き継ぐことは若者に任せなければなりません。このことについてどうお考えですか。
それはけっこう難しい問題です。昔はテレビとかなかったですから、やっぱり演劇、お芝居というのはわれわれにとって最大の楽しみだったんですよね。ですから子供からお年寄りまで、お芝居はやっていたら絶対見たいという感じで、みんな育ってきています。ところが、今はほかにたくさん面白いものがあるから、無理にそんなものを見なくたって、ほかに楽しいものがいっぱいあるという感じに、多分なってしまうでしょう。だからといって、例えば、ただ若者に分かりやすいような作品を作るとか、そういうふうな方向に進んでしまうと、多分だめだろうと思います。ですから妥協をせずに、その観客を育てていくということが必要だと思います。ですから、白先勇さんの『牡丹亭』はひとつの試みとしては非常にいい試みだったと思います。
――シンポジウムに出たご感想は?
先ほど言ったように、私は30年前に南京大学にいたので、そのときの同級生が今は有名な大学の先生になっており、そういう方とお会いしたり、それからまだ若い学生の人たち、それから崑曲の愛好者の人たちとかいろいろお会いできて、非常に楽しかったです。そして蘇州大学の周秦先生の計画された蘇州崑劇団のお芝居も見ることができて、たいへん楽しかったです。(取材:李陽、チェック:中原、国清)
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