ゲスト:登山家/田村 宣紀(たむら のぶよし)さん
長野県山岳協会顧問、山学山遊会会長(写真中)
翻訳家/李 建華(り けんか)さん (写真右)
中国と日本の間では様々な分野で交流が行われています。そんな両国のつながりを語る時、どうしても語らずにいられない分野の一つに「登山」があります。
これまでにチョモランマやメイリーシュエシャン(梅里雪山)などを始め、両国の合同登山交流会が数多く行われました。登山を通して、たくさんの中日間の交流物語も生まれました。
一方、経済の高度成長を背景に、中国でも登山を初めとするアウトドアスポーツが盛んになりつつあります。山で迷子になり、遭難者が出たという報道もたまに見かけるようになりました。そんな中、昨年末、『山歩きの智恵』と題した日本人登山家・田村宣紀(たむら のぶよし)さんの著書が中国で翻訳出版されました。
登山する時のテクニックを丁寧にまとめたこの本は、昨年11月、中国地質大学出版社から出された後、すぐに第2刷されたほどの好評ぶりです(写真右下)。
今日の「気ままに"談談"」は「山」で結ばれた日本人登山家・田村宣紀さんと中国人翻訳家・李建華さんをゲストにお迎えして、"談談"してまいります。
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田村さんは山国・長野の生まれ。18歳から兄に連れられて登山を始め、今も継続しています。穂高岳の垂直大岸壁や、ヒマラヤ山脈マナスル峰への世界初の秋の登頂など、これまで危険なチャレンジも数多くこなしてきました。
「登っているうちに、自然とそうしたくなります」と語る田村さん。
しかし、「何故登り続けているのか?」
1920年代、チョモランマの登頂に何度も失敗したイギリスの登山家・マロリーは記者の問い詰めに対し、「そこに山があるから(Because it is there.)」と答えました。
田村さんの場合、山に引き付けられてやまない理由は何だったのでしょうか。
目の前に山があるからか、
頂上に立った時の快感を味わいたいためか、
大自然の魅力に惹かれたからか…
登山隊の隊長を務めながらも、自ら頂上に立つことよりも大事にしていることは、安全な登山、チームとして無事、目的を達成することだと言います。
「私の場合、そこに山があるだけではだめなのです。そこに友達がいるから山に登る。友達と力を合わせて目標を目指していく過程が楽しい」、と自らの登山流儀を語りました。
チベットの雪山
一方、北京の銀座と呼ばれている王府井大通りで通訳・翻訳会社を経営している李建華さんは21世紀になってからも、山とは無縁の暮らしをしていました。
2002年、田村さんが率いるチョモラリ峰(7314m)でのゴミ収集のためのトレッキングツアーに、李さんは通訳として同行しました。
「毎日雨で、たいへん厳しい道中でした。10日ほどの間、美しいチョモラリ峰が見えたのはわずか十数秒でした」。
しかし、道中の大変さにもかかわらず、全員にとって「良い旅」でした。とりわけ、李さんにとってその後の人生が変わるほどの旅になりました。それ以来、李さんにとって、チベットの旅が毎年の定例行事になりました。そして、『山歩きの知恵』の翻訳出版も。
「山」のある人生について、「山」で結ばれたお二人と気ままにおしゃべりしました。(つばめ)
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