中国ショッピングモール時代の幕開け
奮闘する日系流通業者
永旺夢楽城の開業につれ、北京にはイオンファンたちが増え、週末や祝祭日になると、駐車スペースもなかなか見つからないほどたくさんの客でにぎわっています。
「日用品のみならず、愛犬の世話から映画鑑賞、書店まで、私のすべてのニ ーズを満たしてくれています。それに、永旺の衣料店で買ったジャケットなら、安心して着られますし、日本料理も食べられますしね。北京にいて、日本を味わわせてくれる場所なのです」と言うホワイトカラーや、「とくに買物がない時も家族で自然に遊びに来ています。ここのキッズランドがとても楽しいから」という子連れがいます。
北京での成功を踏まえ、この9月、「イオンモール天津TEDAショッピングセンター」がオープンする予定。のべ床面積は11万平方メートル、2500台の駐車場があります。このほか、天津市の西青区でもイオンモールの建設工事が7月末に始まりました。総投資額10億元、延床面積12万平方メートルあまりで、2012年の営業開始を目指しているそうです。
2017年までに日本および海外で150店舗、そのうち、中国では2015年までに10店舗の建設を目指しているイオンモール社。高度経済成長に伴い、「ショッピングモールの時代に入る」と見られている中国でのビジネス展開の様子について、永旺梦楽城(中国)商業管理有限公司の西尾徹二総経理にインタビューしました。
■ 地域消費者の嗜好を最優先にする
――イオンモールの中国ビジネスの第一歩は今から14年前(1996年9月)の「上海ジャスコス」でした。しかし、わずか4年で撤退しました。当時、西尾さんも上海勤務だったそうですね。
ひとつは進出の時期が早かったんだと思います。結局上海ではうまくいかなくて撤退しましたが、中国で事業展開していく際に上海なしには考えにくいですね。そのため、イオンはまた上海に出て行かなければいけないと思います。具体的な予定はまだ決まっていません。しかし、イオンの中国戦略を考える上で、上海・華東地域はいずれ進出しなくてはならない地域であるということは、みな認識しています。
なぜ今すぐではないのかというと、まずはある特定地域で基礎を固める必要があるからです。現在は首都圏、山東省、華南でイオンのベースを固めている段階で、ある程度目途が立ったら、次の段階として華東、四川省、東北などの地域も検討されてしかるべきだと思います。また、我々はディベロッパーとしてショッピングセンターを作るわけですが、各店舗のジャスコという小売業の進出もセットで考えなくてはならないからです。
――同じ規模のショッピングモールを作る際、投資を回収するまでの過程など、中国と日本とでの違いは?
日本の場合、ショッピングモールを経営する初年度から黒字になりますが、中国ではイオンモールとしてのブランドがまだ確立されていないため、完成から収益が出るまでの期間は日本より少し長くなると思います。しかし、成長のスピードが日本と全く違います。中国では毎年大きな伸びが期待できます。スタート時には少し苦しい段階を経るかもしれませんが、成長スピードが速いため、十分な利益が見込める魅力的な市場だと思います。
――「永旺国際」の顧客ターゲットは?テナントの中における日系店舗の割合は?
一般の生活者に愛用されるショッピングモール作りを基本的な目標としています。テナントのうち、約3割ぐらいを日系が占めています。このうち、イオングループの専門店・子会社もあれば、日本国内で活躍している一般の専門店もあります。残り7割は中国及びその他の国の店です。
――中国でモールを作る際、目指すのは日本スタイルか、それとも中国スタイルか、もしくは双方のミックス型なのでしょうか。
やはり地域の消費者に親しんでいただくことを最優先に考えなければならないと思います。そこにどれだけ日本的な感覚を取り入れるかも考えますが、両者のミックスというより、中国の人たちに合うようにしたいですね。
――「永旺国際」をぶらぶらしますと、もったいないと感じるほど空間が広々としています。
それはショッピングモール内で非日常的な空間を作り出すためです。お客様に気持ちいいなと感じていただける空間が必要なわけです。イオンモールはただ単に買い物するだけの場所ではなく、お客様がショッピングを楽しめる環境作りがモールの基本だと考えています。そのため、ゆったりとした空間や吹き抜けによって、心のゆとりをお客様に感じていただきたいのです。
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