『二つの野外劇』
9月26日で北京生活1年になる志摩です(このコメントも、今回で最後にします)。
八月末、北京から北東に車で4時間ほどの承徳市に行ってきました。そこで見た野外劇がとても興味がもてたのでそれを書きます。実は、私北海道の函館市で毎年夏に行われる、「函館野外劇」の観光大使を務めていて、一応中国語の名刺も持っています。函館野外劇は、
五稜郭と呼ばれる星型の西洋風の城郭で行われる野外劇で、城の土手を馬が走ったり、お堀を船が走ったりなかなか迫力のある、すべて、市民のボランティアで行われる野外劇で歌あり、踊りありの中で函館の歴史が語られていきます。さて、承徳市の野外劇が始まる前に担当者からの説明があり、私は一緒に行ったスタッフに、「函館野外劇の名刺渡したほうがいいかな?」と聞いてみたのですが、彼はちょっと考えて「やめといたほうがいいかもしれません」「なぜ?」「ちょっと失礼かなと思って」と言う会話を交わしました。
彼のいった意味が現場に行ってみて、わかりました。この野外劇は「避暑山荘」という世界文化遺産のある承徳市に、あらたな文化産業の拠点を作ろうという国家的プロジェクトの核となる施設だったのです。サッカーグランド4個分ぐらいの広さがすべてステージとして使われます。そして周辺の山も、すべて、背景として、様々な形で使われるのです。
野外劇が始まるといきなり馬が野外ステージに登場します。函館野外劇も、3頭ぐらいの馬がパカパカと城の周りを走りましたが、こちらはスケールが違います。20頭以上の馬がたてがみをなびかせながら、まるで競走馬のように疾駆するのです。そして大容量の照明装置が空に稲光を走らせたり、遠くの岩山にシカの姿が映し出されたり、とにかく、そのスケールは圧倒的でした。「ちょっと失礼じゃないかと」という意味は、つまり函館の市民ボランティアと、中国の国家プロジェクトの「格の違い」を示していたんだろうなと、私自身がこの野外劇を見ながら、実感しました。
ただ、最近は少し時が流れたので、それぞれに良さがあるということを再認識しました、
函館野外劇はスケールではとてもかないませんが、その分手作りのきめの細かさ、適度な大きさだからこその臨場感があります。
というわけで、まず、承徳の野外劇、一度見てみる価値があります。そして、日本の函館野外劇も一度見てみる価値がありますので、皆さん来年夏の旅行計画にぜひ、組み入れてください。
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