東京に来ています。
今回は個人的な用事がいくつかあって、休暇を取って帰国しましたが、実は、「私用」の一つが金環食見物でした。その「世紀の天体ショー」が今、終わったところです。
東京は曇り空で太陽が見えるか心配でした
天気が心配でしたが、雲の合間からきれいな金の環を見ることができました。終わってしまえば、何であんなに興奮してたんだろうとちょっと恥ずかしくなりますが、でも、やはりなかなかの見ものでした。
午前7時頃 大分欠けてきました
日食と言えば、小学生の頃に見たのを覚えています。私がいた東京では太陽はかなり細く、三日月ぐらいまで欠けましたが、確か、八丈島などでは金環食になり、テレビのニュースで木漏れ日がみな環の形になっているという映像を今でもはっきり記憶しています。
それ以来、ほぼ半世紀ぶりの金環食で、私も何とか金の環をと撮影を試みましたが、フィルターも何もない普通のカメラでは太陽のあるあたりが真っ白になってしまって、太陽そのものは全く見えません。ところが、幸か不幸か今日は天気が悪く太陽が雲から出たり隠れたりをしていたので、雲が自然のフィルターになり、微妙に雲に隠れた太陽の形が写る瞬間がありました。太陽がむき出しの写真より、かえって趣があるなあと自己満足。
午前7時半頃 雲の切れ目からきれいな金の環が
それにしてもあらためて太陽を見たら、太陽ってこんな小さかったんだというのが第一印象でした。夕日、朝日は太陽が大きく見えますし、50年前の「日食観察絵日記」では欠けた部分を黒で、残った太陽を赤で描く際、土台の太陽にはカンヅメで型を取って○をいくつか描いたものを使いました。その時の感覚が残っていて、日食の太陽の大きさをイメージでは勝手に拡大していたようです。
テレビは、当然、その時刻は金環食一色。どこの局もあちこちから様々な映像を中継で見せていました。天気が不安定だと予想されていたこともあって、各局とも保険の意味でも多くの地方にカメラを据えて準備していたようです。中でも、日本よりちょっと早く金環食になった中国のアモイからの中継映像には、こういう時代だよなとあらためて驚きました。
面白かったのは、横浜の動物園からの中継。以前、どこかでチンパンジーが金環食に反応したという海外の論文があって、果たしてそれが再現されるかと興味津々でしたがほぼ無反応。予想されたことではありますが、それでも一縷の期待を込めて中継カメラを持って行った局の担当者は、ちょっとがっかりだったでしょう。
午前7時40分頃
ちょっとがっかりと言えば、金環食なのでかなり暗くなるのかなと思ったのに意外に明るかったこと。皆既日食の時にまるで夜のように暗くなって、夜行性の動物たちが動き始めるなんていう画を見た気がしますが、考えてみたら太陽が沈んだ後もすぐ暗くなるわけではありませんよね。むしろ日没直後は太陽が沈んだことが分からないくらい明るいし、だからああいう映像も明るさも含めてかなり誇張されたものなんだろうと思います。同業者なのでそれぐらいの理屈は考えればすぐ分かるはずなのに、ついだまされてしまいます。
ところで、今回は去年の7月以来10カ月ぶりの日本で、前回行った震災被災地の石巻や女川にも行きました。まだがれき撤去を進めている段階で、表面的には10カ月前とあまり変わっていないように見えました。
また、日本に帰るといつも街が静かできれいだなと思いますが、今回はその上に、街を行く自動車や人が黒やグレーが多く、赤系統の色が非常に少ないのに気がつきました。だから、よく言えば落ち着いているし、別の言い方で言えば少しおとなしい。それに比べて、やはり北京はエネルギッシュだなと思います。
金環食見物も終わったので、明日、元気な北京に戻ります。 (大野清司)
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