北京の朝
北京の朝、いつものようにあわただしく地下鉄の改札口を通り過ぎると、その先に一か所人だかりができています。そこにはおばさんが立っていて、そばには荷造り用紙で包まれた荷物が置かれています。さて、この状況は一体何だと思いますか。
実はおばさんは新聞を配っているのです。この新聞はタブロイド版の「北京娯楽信報」(通称「信報」)といい、地下鉄構内で無料配布される、いわゆるフリー・ペーパーなのです。乗客はわれ先にと新聞を受け取り、乗車してから目を通す光景がごく普通になっています。内容的には社会面や芸能面に軸足を置いた気軽に読める構成で、主だったニュースも網羅されています。
日本ではサラリーマンが電車の中で日経新聞を読む光景が良く見られましたが、北京では「信報」なのです。そして現在では、北京のほとんどの地下鉄駅で配られています。面白いことに地下鉄駅の構内には、読み終わった新聞を回収するおじさん、おばさんがこれまた立っていて、新聞を無駄にすることがありません。
早朝の通勤時間、地下鉄利用者という「限定付き」ですが、こうした無料配布される新聞はとても重宝がられています。街角にある新聞・雑誌の販売スタンドでも通常の一般紙を1元(約12.5円)~2元(約25円)と日本の新聞紙とは比べ物にならないほど安く買えるのですが、やはり駅構内で、しかも「無料」でもらえるサービスには勝てませんね。
でも、たまには他の新聞を、そしてお菓子類やドリンク類をと思ってみても、そもそも駅のホームに日本のKIOSKのような売店がなく、あればどんなに便利だろうなあとつい思ってしまいます。(小野博民)
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