地下鉄もいろいろ
皆様、こんにちは。水曜日に小野さんが地下鉄についてつぶやいておられましたが、私はまた、別の角度から、北京の地下鉄についてつぶやいてみようと思います。
私が北京に来たばかりの時は、地下鉄の路線は1号線、2号線のみでした。いつしか北の郊外へ向かう13号線ができ、その後次々と新しい路線が開通。今や地下鉄でいろいろな所へ行けます。本当に便利になったものだと思います。今日は、私がよく利用する地下鉄を自分なりに観察し、それぞれの路線の特徴についてお話したいと思います。
まずは、1号線。この路線を利用している人は、農村出身の労働者、いわゆる「民工」とよばれる人をよく見かけます。彼らは大きな荷物を持って、乗車してきます。そして、大きな声で話をしています。以前、北京に着いたばかりと見受けられる労働者の方の会話が耳に入りました。それによると、「北京は今、いろいろ工事を行っている、絶対仕事があるよ」という内容でした。話していた人の表情を見ると、希望に満ち溢れていました。報道によりますと、現在の北京の最低賃金は1160元(17400円)となり、地方から仕事を求めて北京に来る民工が多いということです。都会に出て一旗揚げる。これは日本の高度成長期にも見られた現象ではないかと思います。
また、1号線は、天安門や多くの人でにぎわう西単や王府井も通りますから、週末には、若者のカップルや地方からの旅行者の姿も多く見受けられます。
これは10号線です。
次に、10号線は、三元橋、亮馬橋などといったビジネス街を通りますから、やはりホワイトカラー層が多いように思います。車内を見まわしてみますと、新聞や本を読んでいる人が見られます。本のタイトルを見てみますと、会計やその他の資格に関するものが多いです。スキルアップのためなのでしょうか。その点は、日本の地下鉄とあまり大差ないですね。1号線や他の路線では、携帯電話の画面とにらめっこしていたり、PSPやNDSなどのゲーム機で遊んでいる人が多いです。しかし、週末になると、やはりこの路線でもゲームをしたりする人が多く、他の路線と同じようにゲーセン状態に。また、この路線はIT街である中関村も通りますので、コンピュータの部品の入った箱を抱えている人も見られます。
また、4号線は、人民大学、北京大学といった大学を通るためか、学生とおぼしき人たちが多いです。もちろん、労働者やホワイトカラー層も見受けられます。本を読んでいる人も見られますが、携帯電話の画面を見ている人や楽しくおしゃべりをしている人が多いです。
2号線や5号線は、ホワイトカラー層、労働者などが混在しており、新聞や本を読んでいる人もいれば、ゲームに熱中している人、携帯電話で話をしている人、いろいろです。
以上、簡単に私がよく利用している地下鉄の特徴を見てきました。ここで言えるのは、現在の北京は、いろいろな社会が混在しているということです。例えば、1号線は、今まさに高度成長真っ只中で、希望に満ち溢れている社会。10号線は経済発展がある程度進んで、やや成熟してきた社会というように。また、いろいろな層の人が混在している地下鉄を見ると、社会のアンバランスさがはっきり分かります。
改革開放路線により、中国の経済は飛躍的成長を遂げました。しかし、それは不均衡を認めたうえでの発展でしたから、うまく成長の恩恵にあずかった人、そうでない人が出てきたため、いろいろな社会が混在しているのだと思います。現在、中国は、調和のとれた「和諧社会」の建設を目指しています。今後は、社会のアンバランスを是正する方向に向かうでしょう。今後、この社会はどうなっていくのか、そう考えながら、私は今日も地下鉄に乗っています。(吉田陽介)
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