中国の飲食店のサービスについて
上の写真は、中国式の鍋です。右側は辛いスープ。左側は、そうでないものです。
皆様、こんにちは。前の二回は、中国の方とのコミュニケーションに焦点を当ててつぶやいてきました。今日は、それについてはちょっとお休みをして、違ったテーマでつぶやいてみます。
先日、家族と一緒に中国式の鍋の店に行きました。私は日本にいたときから鍋が好きなので、かなりの頻度で食べに行きます。その店は味もいいのですが、サービスもなかなかのものでした。例えば、順番待ちをしている人たちに飲み物や軽食のサービスをしたり、靴磨き、さらにはネイルアートのサービスも。また、子供連れの人のために子供を遊ばせるスペースも用意しています。また、食べている間も常に客に気を配り、いわゆる「かゆいところに手が届く」というサービスをしていました。私は、北京に10年間いますが、ここまでサービスする店が出てきたのかと感心しました。
私が北京に行く前、知り合いのご年配の方からこういわれました。
「中国の店は、本当にサービスが悪い。びっくりした。」
この方は、改革開放政策が始まって間もない頃に北京に行ったそうです。買い物したとき、店員のぶっきらぼうな対応に驚いたということです。まあ、日本の店のサービスに慣れている私たちはギャップを感じるかも知れません。こういう話を聞いて、ある程度覚悟はしていましたが、実際その場面に直面すると、やはり、「えっ、何だよ」と、思わず声をあげてしまいます。
なぜ、このような現象が起こるのでしょうか?やはり、それは、「お客様は神様」という考えが十分に浸透していないからだと思います。ご存知のように、改革開放前の中国は、基本的に国有国営の企業や店でした。そこは、親方国家ですから、別に激しい競争はなく、待っていても客が来る。それでは、サービスをよくしようという意識ははたらきません。ただ、改革開放路後は、だいぶその意識が変わってきて、競争メカニズムがはたらくようになりました。ただ、中国のサービス業はまだ発展段階にあるので、「お客様は神様」という考えが浸透していない店があるのは否定できません。しかし、全体的に見ると、お客の満足度の向上を考えてきていると思います。お客の意見を聞く、「意見箱」を置いているところや、料理を運ぶ人がアンケートを取りにくる店もあり、お客の声に耳を傾けようとしています。どうしてでしょうか?それは、やはり競争の激化が一番の要因でしょう。
働く人、店を開く人にとって、北京はチャンスが多いところです。しかし、その一方で競争も激しい。中途半端なことをしたら、淘汰されるでしょう。その危機感がサービス向上の原動力になっているのではないかと、私は思います。
飲食業を含むサービス業は、雇用吸収力があります。つまり、ある程度の人手が必要です。それに対し、製造業など、従来のマルクス経済学で生産的だといわれている仕事は、機械が人に取って代わり、人手がいらなくなり、そこから弾き出される人が出てきます。ですから、サービス業の発展は就職問題の解決にとって重要だといえるでしょう。ここ数年の中国の動きを見てみると、サービス業の発展も重要視されてきています。その発展には、やはりサービスの質が重要です。飲食店の場合は、味も大切ですが、もう一度来たいと思わせるようなサービスも重要です。今後、中国の飲食店のサービスはどうなっていくか、その推移を見守っていきたいと思います。(吉田陽介)
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