第四回:クローズアップ 主演の松浦新さん(寧采臣役)
全身で表現すれば国境を越える
中国の劇場で、日本語で、中国人の観客を相手に芝居をする――。一番の壁になるのはやはり「言葉」。セリフでダイレクトに伝えられないならどうするか。主演の松浦新さんが悩んだのもそのポイントでした。
「スローモーションになって、槍をかわすシーンでベタだけど結構笑いがとれたんですよ。それで、やっぱり体の動き、目、表情など全身で表現することで、中国人のお客さんにも伝わるものがあるんじゃないかと思いました」。
もともと体を動かすのは得意。というのも、10歳の頃より中国武術を学び、2006年から、全日本武術太極拳競技大会、男子自選難度南拳・南刀ともに全国優勝、三連覇。さらに2007年世界武術太極拳選手権大会男子南拳で銅メダルを獲得し、2008年北京オリンピック特別公開種目の出場枠を獲得したという実力の持ち主。舞台を劇場に移しても、瞬間的な爆発力と全身をのびやかに使った動きは見るものを引き付けます。競技を引退した後、武術を通して学んだことを多くの人に伝えていきたいと、俳優の道を志しました。
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