「侠気」を愛する武術チャンピオンが 世界各地で "武術交流"を展開!!
李志明氏は数多くの武術大会でチャンピオンになった実績を持つ中国武術のスペシャリスト。日本で生活するようになった今も、世界を飛び回って中国武術の公演や指導を行っているという。はたして、李さんはどのような思いで中国武術の普及に努めているのだろうか。さっそく、張国清北京放送東京支局長にインタビューしてもらった。この記事は日本東方通信社発行の月刊誌「コロンブス」10月号に掲載されている。
武術家・李志明は北京体育大学と広州体育大学を卒業。専攻は中国武術、気功理論。中国全国武術大会などで優勝した実績を持つ。中国広東省武術自由種目団体ヘッドコーチなどを歴任した後に来日。現在、日本全国で公演活動を繰り広げながら各種武術、拳術、古代武器、対戦、集団による練習などを伝授。実戦対戦、擒拿術(関節技)、護身術、武術における気功、気硬功法などのほか、中国武術をベースにした健康法も伝授している。映画、テレビの武術指導など、武術、気功の教学、理論と実践経験を活かした業務を展開している 。
張国清:いつ頃から武術を学びはじめたのですか。
李志明:7歳のときから学びはじめました。そして、13歳のときに中央政府の軍事委員会に採用され、武術に関する訓練を受けました。それから、北京体育大学と広州体育大学で中国武術や気功理論について学びました。卒業後は広東省に残るか、人民解放軍に入るか迷いましたが、結局、広東省からの要望もあって、広東省武術自由種目団体のヘッドコーチに就任しました。以来、広東省だけでなく、いろんなところでコーチを務めながら、個人としても国家レベルの大会に出場してきました。
張:映画俳優としても活躍したことがあるそうですね。
李:10数本の映画やテレビドラマに出演しました。また、俳優としてだけではなく、アクションの指導を行うこともありました。本来は国家の武術チームに参加していたので、こういった活動は禁止されていましたが、私がチャンピオンだったこととチームのPRになるということで、特別の認可をもらえました。
張:中国ではバツグンの知名度があると思いますが、どうして海外に目を向けるようになったのですか。
李:改革解放の流れのなかで、海外に行けるようになったことが、私の好奇心に火をつけたのです。また、海外で活動することは、自分の実績にもつながりますからね。
張:海外ではどのようなことを行ってきましたか。
李:アクションの演出の仕事を数多く行ってきました。現在、ハリウッドスターとして活躍しているジェット・リーと一緒に仕事をしたこともあります。手前ミソになりますが、私のアクション指導の評判は上々で、日本をはじめ、アメリカやイギリスなどで残ってほしいといわれました。
張:いつ来日しましたか。
李:86年に東京日中友好武術大会に出場したのが初来日になります。大会では最優秀選手賞をいただいたのですが、その際に知り合った日本武術協会の古室進栄理事長に「日本で中国武術を伝授してほしい」といわれ、来日することにしました。来日して1年間は古室さんのところに寝泊りしながら、武術指導をしたり、公演をしたりしていましたが、1年後には自分のマンションを借りて生活するようになりました。古室さんのおかげで今の自分があるといっても過言ではありません。おかげで今では、すっかり日本のことが気に入ってしまいました。ときには海外に出かけて武術公演や指導を行うこともありますが、日本を拠点にした生活をつづけています。
張:武術の公演ではどのような演技を披露していますか。
李:縄の先に刃物を付けた武器を使った技を得意としています。また、刀とムチを使う「刀里加鞭」も得意です。奇抜なものとしては、気功によって体を硬くする「気硬功法」があります。この気硬功法を使えば、喉にヤリを突き刺す「銀槍刺喉」という技を披露することもできます。
張:日本ではどのような感じで武術を教えているのですか。
李:練習は非常に厳しいですが、「来る者は拒まず」という姿勢で中国武術の指導を行っています。それでも、練習生たちは私を慕ってくれているようです。私の引越しのときは、多くの練習生たちが手伝いにきてくれました。あのときは嬉しかったです。
張:武術指導もさることながら、李さんの人柄も関係しているのではないでしょうか。
李:たしかに私は「侠気」という精神を大切にして、中国武術の指導にあたっています。また、この精神は日常生活でも大切にしています。ですから、阪神大震災の際には、仲間たちと一緒に興行収入のなかから600万円ほど寄付しました。自分があの場にいたらどれほど大変だろうかと思うと、少しでも被災者の役に立ちたいと思ったのです。
張:今後はどのような活動を展開していきますか。
李:日本にはトヨタやソニーをはじめ、世界レベルの産業力や技術力があります。しかし、残念ながら今の中国にはそれに匹敵するものはありません。だからこそ、中国はスポーツや武術などに力を入れる必要があるのです。そういった分野で活躍できる人材を輩出して、自分たちの能力や文化を、ドンドン世界に向けてPRしていかなければなりません。 ですから、私も中国武術のスペシャリストとして、その技術を世界に伝えていきたいと思います。そうすることで、さまざまな人たちと武術交流ができれば最高です。
張:これからも武術を通じて、人と人の絆をつくっていってください。本日はありがとうございました。
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