「春 运」。「旧暦のお正月・春節期間中の輸送」の略語で、「运」は「運」の簡体字です。この春運の期間は春節の前後のおよそ40日間、中国全域がその対象になるほど大規模なものです。
今年は1月11日から2月19日までとなっていますが、鉄道、道路、空路、水路などの交通機関は、すでにその対応に取り組み始めています。
この時期、春節を故郷で過ごそうとする出稼ぎ労働者、冬休みで実家に帰る大学生、大型連休を利用して出かける観光客などが、列車、バス、航空機、旅客船へと一気に押し寄せます。ここ数年、春節期間の利用客の数は、毎年のべ20億人に達すると言われています。
そのため乗車券が入手困難になるだけでなく、長距離バスやフェリーなどでは定員オーバーで運行する、といった問題が頻発し、一度に15人以上の犠牲者を出す大きな交通事故につながることも珍しくありません。また混雑によってスリによる盗難が倍増することや、高い手数料を払ってダフ屋にチケットを頼んだところ、偽物をつかまされてしまうなど様々な事件が起きています。このように「春运」期間中の安全問題は、全国の交通部門や治安部門にとって、大きな課題となっています。
「春运」の鉄道における対策としては、例えば北京から四川省の大都市や、青島から長沙までといった利用客の多い路線は、臨時列車を増発します。駅では乗車券の販売窓口を増設します。今年、北京駅や北京西駅では、農村からの出稼ぎ労働者を対象にした専用窓口を設けました。また、ネットで乗車券を予約することもできるようになりました。このほか、大学生に対しては学割があることから、大学単位による集団購入が以前から行われています。
「春运」システムは、すでに1954年から始められていますが、80年代後半から乗客が増えはじめ、特に90年代の半ばからは急増し、対応が大きな課題となっています。その背景には、改革開放の深化や、大学が学生を募集する規模を拡大したこと、住民の生活レベルの向上などがあります。また、都市部と農村部の格差、東部と西部の発展と教育への投資のアンバランスさなどの表れだという指摘もあります。(朱丹陽)
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