中国の年越し番組「春節聯歓晩会」（後編）

2015-03-11 16:18:33 cri

ナビゲーター　黄競

　中国の年越し番組「春節聯歓晩会（春節の夕べ）」は、毎年旧正月の大みそかに放送され、世界で数億人の中国人が視聴する恒例の人気番組です。「誰が何時にどのようなパフォーマンスをするのか」は毎年大きな話題となります。多くの芸能人はこの舞台で一躍有名になり、「春節の夕べ」に出ることは芸能人にとって大きな夢とみなされています。今回の中国メロディーは、「春節の夕べ」でのヒット曲を聴きながら、この番組にまつわる物語を振り返りましょう。

一世を風靡した「暁慶シャツ」

　改革開放の影響を受け、80年代の「春節の夕べ」は庶民的で自由な風格を見せました。この時期の司会者は、毎年最も人気のある芸能人が担当しました。例えば、80年代の人気女優・劉暁慶や、漫才師・馬季、姜昆などが人気を博し、この舞台に流行文化の息吹をもたらしました。劉暁慶が1983年に司会をした時に着ていた赤いシャツは当時一世を風靡し、そのデザインは「暁慶シャツ」と呼ばれ、若い女性にとって憧れのファッションとなりました。

　また、最も人気のあるテレビ番組として、「春節の夕べ」は一般庶民に親しまれるだけでなく、国の指導者からも支持されています。1990年、時計の針が12時を指し、人々が新年の鐘の音を待っていた頃、当時の国家主席・江澤民と首相・李鵬が現場を訪れ、全国の視聴者に向けて新春の挨拶を送りました。国の指導者が初めて「春節の夕べ」の現場に姿を現したもので、これは場をさらに盛り上げました。この番組の意義はすでに一般のテレビ番組を越えて、すべての中国人が春節を祝う式典となっています。

「98年に会いましょう」

　90年代に入り、「春節の夕べ」は形式から内容まで新しい方法を模索し、異彩を放ちました。その中で、98年の「春節の夕べ」は歴代の中で最も視聴率が高いと讃えられています。特に、大陸の人気歌姫・那英（ナー・イン）と香港の歌姫・王菲(フェイ・ウォン)がデュエットした「相約98（98年に会いましょう）」は人気を博し、2大ビッグスターの共演が大きな話題を呼びました。

　98年は香港の祖国返還一周年の年で、「相約98（98年に会いましょう）」の歌の内容が時代の背景とぴったりだ言われています。大陸と香港の人々が香港返還を祝う喜びを歌いあげました。

　98年に会いましょう

　甘く優しい春風の中

　永遠の青春時代に約束しましょう

　私たちの心と心

　一年また一年と約束しましょう

　千里も遠く離れても

　那英の底からわきあがる歌声と王菲の美しく澄んだ歌声が、明るく軽快なメロディーに合わせて、幻想的な雰囲気を作りあげています。この歌は「春節の夕べ」で披露された後、翌日から町中で流されるようになりました。90年代の「春節の夕べ」の代表的な歌と言われます。

「時間はどこへ行ったの」

　この10数年、「春節の夕べ」は舞台や衣裳においてグレードアップした一方で、心を込めた作品が少なくなったという声が聞かれます。しかし、こんな曲も登場しました。

　時間はどこへ行ったの

　心行くまで楽しんではいないのに老いていく

　一生を子供に尽くして

　頭の中は子供の笑顔や泣き声で一杯

　歌手・王錚亮が歌った「時間はどこへ行ったの」という歌は2014年の「春節の夕べ」で注目を浴びました。聞く人の心を暖めるメロディーと親しみやすい歌詞で、親の子供に対する見返りを求めない愛を表しました。現場では、多くの観客が感動の涙を流し、この歌は、2014年の春節の夕べにおいて最も素晴らしい歌と讃えられました。

　素晴らしい音楽作品は生命力溢れるもので、何時でも人の心を打つ力をもっています。また、聞き手によって感じ方も異なります。習近平国家主席はこの歌について、ロシアの記者のインタビューで、「私の時間はどこへ行ったの？もちろん仕事に占められていた」と感慨深く言いました。

番組の中でお送りした曲

　1曲目～　歌声与微笑（歌声と微笑み）

　この歌は、1989年の「春節の夕べ」でCCTV・中央電視台の銀河少年合唱団が歌った児童合唱曲です。明るく歌いやすいメロディーで、多くの青少年たちから親しまれています。

　家に帰ろう　この歌とともに

　微笑みはここに残したままで

　家に帰ろう　この歌とともに

　微笑みはここに残したままで

　明日、この歌声は

　遠い彼方へ飛んでいく

　明日、この微笑みは

　春の花として咲き乱れる

　2曲目～　　相约九八（九八年に会いましょう）