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ナビゲーター 黄競
時代劇「宮廷の諍い女」の主題歌を歌ったことで知られている人気歌手ベラ・ヤオ(姚貝娜)。彼女は、乳がんとの闘いを経て、華麗な舞台衣装や他人がうらやむ軍隊歌手の身分を捨てて、「自分の好きな歌を歌いたい」という夢を目指してその一歩を踏み出し始めます。これこそ、彼女の本当の音楽の夢です。今回の中国メロディーは引き続き、33歳で若くして亡くなったベラ・ヤオの音楽の物語をお話しましょう。
魂で歌う歌手
2011年、乳ガンの治療を経て病魔の手を逃れたベラ・ヤオは一層強くなりました。彼女は自分が乳がん経験者だということを勇気をもって公開し、「ピンクリボン運動」のイメージキャラクターとして選ばれます。乳ガン手術の経験を振り返り、「手術室に入った時、とっても怖くて、悲しさで爆発するかと思った。手術は無事成功したので、その翌日を復活の日にした」と素直な気持ちを打ち明けました。また、女性の乳がんへの関心を呼び起こすため、彼女はピンクリボン運動で全裸の写真を撮影しました。写真の中の左胸の傷跡について、彼女は「この傷跡は独特な勲章であり、私が病魔と闘った経験を記録し、すべての人が持つものではない」と誇らしく話しました。
自分の弱さと向き合ったベラ・ヤオは生命への新しい悟りを得ました。彼女の歌声からは、どこか心温まる力が感じられます。映画「1942」の主題歌「生命の川」で、彼女は自身の悟りを歌の情緒とうまく融合しました。彼女は「生命はまるで川のようで、次の瞬間にどうなるか、どんな奇妙な対岸にたどり着くか分からない」と話しました。映画「1942」の主題歌で彼女の美しく澄み切った歌声は、もの悲しい一方で、あふれる期待を感じさせます。
最後の歌「魚」
私は魚
金魚鉢の外のあなたを見守る
ガラスを叩いたら
あなたは私に向かって微笑んでくれた
必死に泳いで
水に映るあなたの影に寄り添う
いつか あなたの暖かい手の上に乗ってみたい
これはベラ・ヤオが生前に舞台で歌った最後の歌「魚」の歌詞です。去年の11月、無名の新人作曲者の歌を歌う番組で、彼女は水色の人魚のドレスをまとい、心をこめてこのラブソングを歌い、作曲者の目からは涙がこぼれました。実は、当時彼女はすでに乳ガンの再発によって再び通院を始めていました。「音楽は、私が前進する原動力だ。素晴らしい音楽は、まるで新しい命のように期待に満ちている」と彼女は語りました。舞台で熱唱する姿を見て多くの観客が感動し、彼女のファンになりました。また、この歌はネット上で広がり、アクセス数が3日間で5000万を突破したほど大ヒットしました。この「魚」という歌が彼女の最後の歌になるとは、誰も思いもしませんでした。
心の中で永遠に生き続ける歌声
2015年1月16日午後4時55分、ベラ・ヤオは乳ガンの再発によって33歳の若さで亡くなりました。この才能に溢れた歌手は、両眼の角膜の提供を生前に決めました。生前の望みに基づいて、彼女の角膜は無事2人の若い患者へ移植され、彼らに明るい希望をもたらしました。
ベラ・ヤオの逝去に、多くの人が悲しみ、それを惜しんでいます。「命は本当にもろいもの。神様はなぜ、こんなに美しく心が優しい天才歌手を早々に連れていってしまったのか」という声が絶えません。
そんなベラ・ヤオは、命の最後の時間までも自分らしさを貫きました。彼女の願いを叶えるため、両親は追悼式で、悲しい葬送曲の代わりに彼女が生前に最も好んでいた「御龍吟」という歌を流し、最愛の娘に別れを告げます。彼女の33年間の短い生命を花に例えれば、この花は崖の岩の裂け目に凛と咲く命の花と言えます。命の花は最後には枯れてしますが、この命の花から生まれた美しい歌声は永遠にファンの心の中に生き続けるでしょう。
番組の中でお送りした曲
1曲目~ 生命的河(生命の川)
この歌は映画「1942」の主題歌「生命の川」です。
歌詞:
生命の川 喜びの川
心の中にゆっくりと流れてきた
私はあの歌を歌いたい
天国の歌を
空を覆う黒い雲や
心の悲しみも
すべてなくなる
2曲目~ 魚(さかな)
私は魚
金魚鉢の外のあなたを見守る
ガラスを叩いたら
あなたは私に向かって微笑んでくれた
必死に泳いで
水に映るあなたの影に寄り添う
いつか あなたの暖かい手の上に乗ってみたい
3曲目~ 御龍吟(ごりゅうぎん)
この歌はオンラインゲーム「御龍在天(空に舞う龍)」の挿入歌で、歌は群雄が覇権を争う三国時代、戦火の中での女性の無力さと悲痛を描きました。
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