6月中旬、北京の庭園や公園で色とりどりの花々が咲き、花畑では蝶々やミツバチをよく見かけます。特に、初夏の北京を彩る蝶々が優雅に舞う姿は非常に美しいですね。

　中国では昔から蝶々は愛情のシンボルとされており、蝶々に関る民間説話や民謡がたくさん残されてきました。その中最も広く伝われるのは「梁山伯と祝英台」です。昔々、聡明で美しい祝英台という女性がいました。彼女は遊学のために男装して家を出ます。遊学先で梁山伯という青年と出会い、二人は意気投合して、すぐに親友になりました。のちに梁山伯は祝英台が女性と知って愛情をいだきますが、英台の親はすでに他の結婚相手を決めていました。梁山伯は傷心のあまり、病気になって死んでしまいます。梁山伯の死を知った祝英台はとても嘆き悲しました。彼女が梁山伯の墓を訪れ、泣き伏していると、急に嵐が吹き、梁山伯の墓が裂けました。祝英台は躊躇することなく、その穴に身を投げました。やがて風が止み、墓の周囲には鮮やかな花が咲き競いました。そして、一対の色鮮やかな大きな蝶々が墓の中から舞い上がり、墓の周りの花の中を飛び交ったということです。

　今回の中国メロディーは蝶々をテーマにし、中国各地の蝶々に関わる民族音楽を紹介しました。番組の中で取り上げたのは化蝶(ゲチョウ) 、蝴蝶泉辺(蝶の舞う泉の畔)、 採茶朴蝶（茶摘みと蝶々）、蝴蝶（蝶蝶）４曲でした。

　1曲目　化蝶(ゲチョウ)　

　化蝶とは蝶々が蛹から蝶になることですが、この化蝶という唄は中国で広く伝わる民間説話「梁山伯と祝英台」に由来しています。この曲は作曲家・閻粛さんが「梁山伯と祝英台」というバイオリン曲に合わせて詞を作りました。

　歌詞は

　草が青々と茂り、花が芳しく咲く

　色とりどりの蝶よ

　ひらひらと舞い飛ぶ

　真摯な愛情は

　時が経っても変わらない

　梁山伯よ

　何時までも祝英台を思う

　2曲目　蝴蝶泉辺(蝶の舞う泉の畔)

　この唄は1959年に上映された映画「五人の娘」の挿入歌です。この映画は中国西南部・雲南省大理地区のペー族のユーモラスな愛の物語です。

　お祭りで賑わう雲南省大理の街で、ペー族の青年阿鵬(アーポン)は、同じ白族の美しく可憐な娘・金花(チンホァ)と知り合いになります。蝶の舞う泉の畔で、2人は来年再会しようと約束し別れました。翌年、待ちきれない阿鵬（アーポン）は金花(チンホァ)を探し始めました。しかし、覚えているのは金花(チンホァ)という名前だけです。映画は阿鵬（アーポン）が訪ねて行く先々で巻き起こすさまざまな騒動をユーモアたっぷりに描きました。

　この映画は、全国各地で人気を呼び、周恩来首相の称賛も受けました。周恩来首相は「この作品はわが国の山や河の美しさ、人情の美しさを表現した」と評価しました。また、美しい金花(チンホァ)を演じた楊麗坤さんは1962年、カイロで開かれた第2回アジアアフリカ映画祭で主演女優賞を得ました。挿入歌「蝴蝶泉辺(蝶の舞う泉の畔)」のメロディーも非常に美しい曲です。

　歌詞は

　大理の三月は良い季節、

　蝶々が泉で飛び回り、

　蜜を求めて花に行く、

　娘達が髪を結うのは誰のため　

　3曲目　採茶朴蝶（茶摘みと蝶々）　

　この曲は200年の歴史を持つ伝統音楽です。最初は福建省龍岩地区の茶農家たちが即興で歌ったものですが、1950年代、作曲家・劉副安さんがこの古い民謡を民族合奏曲にアレンジし、中国全土に広まるようになりました。

　曲は三部形式の楽曲です。前奏部分のロマンチックな旋律は大地に春が巡り来て、万物が蘇ることを描きました。楽曲の第一部分は福建省の民謡「茶摘と蝶々」の主旋律を奏でて、うららかな春の日の様子を思わせます。続いて、中間部のゆっくりしたテンポの叙情的な旋律は茶摘娘たちの喜ぶ気持ちを表現しました。第三部分は第一部分の主題を再現し、胡琴による変奏は娘たちが茶摘みをしながら、蝶を捕まえる楽しい風景を表現しました。

　4曲目　　蝴蝶（蝶）

　この曲は日本人になじみの深い女性バンド・女子十二楽坊が演奏したものです。女子十二樂坊は中国出身の民族楽器を操る女性演奏家によるユニットです。これらの女性演奏家たちは、二胡･琵琶･揚琴などで演奏される中国伝統音楽に、ポップ･ジャズ･クラシックなどの多様なジャンル音楽と電子サウンドをアレンジし、中国音楽界の新しい風を吹き起こしました。

　「蝶々」という曲は女子十二樂坊が2004年にリリースしたアルバム「辉煌」の一曲で、今は女子十二樂坊の代表曲となりました。

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　宛先

　〒100040　中国国際放送局日本語部「中国メロディー」係　

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