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中国では端午節は夏の最も重要な年中行事、伝統的な祝日で、夏の節句とも呼ばれます。端午節期間、中国各地では粽を作って食べたり、ドラゴンボートレースなど様々なイベントを行い、この祝日を祝います。この行事は昔の楚の国の愛国詩人・屈原氏記念から由来します。
屈原は今から2400年前の春秋戦国時代を代表する詩人で、政治家でした。屈原は祖国・楚の国が他の国と連合して秦に対抗することを唱えました。しかし、政敵の陰謀で失脚し、王に追放されてしまいました。結局、楚の都は秦の軍隊により陥落しまいました。都が陥落した日に屈原は川に身を投げて自殺し、その日が5月5日でした。屈原の死を悲しんだ人々は、死体が魚に食べられないよう沢山の粽を川に投げ入れて弔いました。これが端午節にちまきを作って食べるという起源だと言われています。
端午節の前後、中国江南地方は梅雨に入り、しとしと降り続く雨の中の江南水郷は独特な情趣です。古い家並みと石橋、新緑の枝を垂らす柳が何ともいえぬ風情があります。今回の中国メロディーは中国の南の地方、江南地方の夏に関わる風俗習慣と伝統音楽をご紹介しました。番組の中で取り上げたのは国殤(こくしょう)、茉莉花 (マツリカ)、紫竹調(紫竹の調べ)、太湖美(美しい太湖)全4曲でした。
1曲目 国殤(こくしょう)
「国殤」は偉大な愛国詩人・屈原が作った「九歌/九つのまつりの歌)の中の一曲です。「国殤」は戦死者を悼むという意味です。「国殤」は楚の国の10数万人の部隊が秦の軍隊に敗れたことを聞いた時、屈原が嘆き悲しんで作ったものです。番組の中で取り上げたのはこの詩を元に作った編鐘音楽です。編鐘音楽の編鐘は古代から伝わる重要な打楽器で鐘の一種です。
曲の最初部分では編鐘や銅鑼、琵琶などの楽器で激しい戦闘の模様を描きました。続いては編鐘が低く沈んだメロディーを奏でて、祖国に身を捧げた戦士たちを哀悼し、勇士たちへの敬意を表します。最後の悲壮な旋律は戦死した烈士たちの不屈な精神を讃えています。
2曲目 茉莉花 (マツリカ)
この曲は江南地方の代表的な民謡です。または、「ジャスミンの花」と訳されたこともあります。この「民謡は中国で広く愛唱されていて、世界でもよく知られています。百年前、すでにこの民謡は外国の音楽家に注目され、イタリアの大作曲家・プッチーニがこの曲のメロディーをオペラ「トゥーランドット」の主要旋律として取り入れました。その後、この中国民謡は欧米人にも馴染み深い曲となりました。2008年の北京オリンピックでは、授賞式の時のビージーエムとしても流されました。今は、「茉莉花」は中国の代表的な曲になり、第二の国歌と呼ばれています。
唄は中国伝統音楽の五音の音階で構成され、美しい旋律は少女が白く芳しい茉莉花に惹かれる心情を描いています。
歌詞は
きれいな茉莉花、きれいな茉莉花
庭中に咲いたどの花も その香りにはかなわない
一つとって飾りたいけれど 怒られてしまうかしら
きれいな茉莉花、きれいな茉莉花
雪よりも白く咲いた茉莉花
一つとって飾りたいけれど 笑われてしまうかしら
きれいな茉莉花、きれいな茉莉花
庭中に咲いたどの花も その美しさにはかなわない
一つとって飾りたいけれど
来年芽が出なくなってしまったらどうしましょう
3曲目 紫竹調(紫竹の調べ)
この民謡は1930年代から上海や浙江省などに伝わる小唄で、初めは豆腐屋さんが豆腐を作る場面を表す労働の歌でした。その後、上海の地方劇・滬劇の名曲となりました。劇の中で、役者は豆乳をろ過する網を張った竹竿を揺りながら、豆乳をろ過する仕草をしたり歌ったりします。曲のメロディーは非常に緩やかで美しいです。また、江南地方の優しくうるおいのある方言で歌われ、江南地方の民謡の独特な味わいが感じられます。
歌詞は
可愛いい娘よ
花摘みに忙しい
紫竹の籠を手に持ち
紫竹の花を胸の前に飾り
こちらの山からそちらの山に
まるで蝶が花畑で飛んでいるようだ
4曲目 太湖美(美しい太湖)
この曲は江蘇省の民謡です。太湖は太い湖と書き、南の江蘇省に位置し、中国で三番目に大きな淡水湖です。歌は太湖の山や水が美しく、住む人も美しいとを謳い上げました。1978年に創作されて以来、多くの人々に愛唱され続けています。番組の中で取り上げたのは中国の有名な三重唱グループ「黒鴨子(ヘイヤーズ)」が歌ったものです。
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宛先
〒100040 中国国際放送局日本語部「中国メロディー」係
メール nihao2180@cri.com.cn
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