今回の中国メロディーは引き続き、夏をテーマにし、中国の伝統文化と音楽を紹介します。前回は中国の江南地方の夏に関る音楽を紹介しましたが、今回は広東省や雲南省など南国地方の夏に関る伝統音楽をご紹介しました。

　南国の夏は長くて暑いです。広東地方では毎年、気温が30度以上の真夏日が4ヶ月ほど続きます。この長く暑い夏にお茶を飲みながら、点心を食べるのが広東地方の人々の納涼方法です。広東地方ではお茶を飲むことを「ヤムチャ」と言い、このヤムチャのお店は「茶楼」と言われます。地元の人々は暑くて食欲が出ないため、朝の涼しいうちに起きて、茶楼で飲茶をする習慣があります。多くの年配の方は朝4時、5時に起きて茶楼へ行き、ヤムチャをしながら おしゃべりします。

　番組の中で取り上げられた広東音楽は1920年代から広東地方で始まった民間音楽です。当時、広東省や福建省から多くの華人が海外に移住しました。これらの華人は広東地方の民間音楽と西洋音楽を融合し、新しい民間音楽・広東音楽を作りました。広東音楽は躍動感溢れる旋律と南国的な明るいメロディーで多くの人々に喜ばれ、特に海外の中国人に親しまれています。

　また、番組の中でタイ族やイー族などの雲南省の少数民族の民謡を取り上げて紹介しました。タイ族は昔から竹林が茂る雲南省南部地方に暮らしています。その自然環境はタイ族の柔らかで美しい伝統音楽と舞踊を醸し出しました。また、タイ族の舞踊はしなやかなクジャク踊りでよく知られています。雲南省のシーサンバンナー地区の森林に明け方の陽の光が差し込む時、美しい孔雀が河辺で踊るのが見えます。ここに住むタイ族の人々は孔雀を神の使いとして崇め、孔雀は幸福と吉祥のシンボルとなりました。地元のタイ族の娘はみんな孔雀の踊りに堪能で、一番踊りが上手な娘は「金色の孔雀」と讃えられています。

1曲目　雨打芭蕉（雨に打たれる芭蕉）

　この曲は1921年に出版された楽譜集で世に広まり、今は広東音楽の代表曲とされています。明快な曲調は、初夏、人々が、芭蕉の葉を打つ雨の音に耳を傾け、芭蕉の豊作を願う気持ちを表しました。とくに、特色あるスタッカートは『雨に打たれる芭蕉』という様子をうまく表現しました。

2曲目　月光下的凤尾竹（月明かりの鳳凰竹）

　鳳凰竹は中国西南部・熱帯雨林に生える竹の一種で、枝葉が鳳凰の尾に似ていることからこの名があります。

　この曲は作曲家・施光南さんが1980年代に西南部雲南省のタイ族の民謡を元にアレンジしたものです。当時、施光南さんがシーサンバンナー地区で民謡を収集していた時、タイ族の乙女が、月明かりに照らされた、鳳凰竹の下で踊る姿を見て、この曲を創作しました。 唄は美しい月夜、タイ族の若者がフールー笙の優しい音色で好きな娘に愛を告白する場面を描いています。フールー笙は笛の一種で、雲南省と貴州省あたりの民族楽器です。

　歌詞

　月明かりの鳳凰竹よ、

　まるで柔らかな緑の霧のよう

　美しい娘よ

　まるで目を奪う夜光の真珠のよう

　聞いてください。

　どれだけのフールー笙が

　君に愛を告白するのか？

　金色の孔雀のような娘よ

　なぜ君の窓をまだ開けないのか。

3曲目　小河淌水（小川のせせらぎ）

　この唄は雲南省ぺー族自治州の弥渡県に由来する民謡で、1947年に尹宜公氏によってアレンジされて以来、60年あまりの時を過ぎても歌われ続けています。曲は、若い女性が好きな男性への思いを歌ったことから「東方のセレナーデ」と言われています。

　唄の歌詞は素朴で、創造力に溢れています。雲南地方特有の、爽やかで優美な旋律はまるで詩や絵のような情緒に満ちています。そこは、銀色の月光の下、山の麓の小川からさらさらと流れる水の音だけが聞こえる場所です。優しく美しい娘がそこで、月を眺めながら語る若者への深い愛情を、美しい旋律に乗せて描いています。

　歌詞

　月の光が明るい夜。あなたは山奥にいる。

　今夜私はあなたが恋しい。

　あなたは月のように天を渡っているだろうか。

　山から涼しい風が渡ってきたよ。

　あなたは月のよう、

　私はこの月に照らされている小川のようだよ。

　あなたと共にいつまでも歩きたい

4曲目 酒礼歌（お礼のお酒の歌）

　この曲は作曲家・何占豪さんが中国西南部貴州省のイー族の民謡を基にアレンジしたものです。曲は二胡や笛など伝統楽器を中心に、西洋楽器が補助的に演奏されます。月が樹の梢に登る時、イー族の老若男女が民族楽器・月琴の伴奏の下で、歌ったり踊ったりして豊作をお祝いするにぎやかな場面を現しました。

　この番組へのご意見・ご感想などがございましたら、ぜひお聞かせください。

　宛先

　〒100040　中国国際放送局日本語部「中国メロディー」係　

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