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北国の初夏

2013-05-31 15:15:47     cri    



ナビゲーター 黄競

 6月1日の国際児童祭を控えて、北京児童劇祭がこのほど、北京国家大劇院で幕をあけました。中国児童芸術劇院などの素晴らしい公演は観客たちに児童劇の独特な魅力を体感させ、子供たちへの意義ある祝日の催しだと評価されました。

 今回と次回の中国メロディーは夏をテーマに、中国各地の夏に関わる伝統文化と音楽を紹介します。今回はまず、中国北方地方の夏の風俗習慣と伝統音楽をご紹介しました。

 春が終わり、北方地方の蒙古草原は一年で最も美しい季節を迎えました。この季節の草原では、夏の間さまざまな植物がさまざまな色の花を咲かせて北国の短い夏を彩り、訪れる人々の目を楽しませます。真っ青な空と眼下に広がる緑の草原を、古代の漢詩ではこう表現しています。「天苍苍,野茫茫,风吹草低见牛羊(天は青々と,野は広々と、風が吹き草がなびき、牛羊が見える)」まるで美しい画面のような景色が目の前に広がりますね。

 草原の夏は短いです。それでも、この短い間に自然はその素晴らしい景色を精一杯見せてくれます。蒙古草原にある草や花、果物は、そのすばらしい香りや味で訪れる人を魅了するでしょう。また、年に一度の遊牧民の祭りナダム大会もこの季節に行われ、遊牧民たちと共にナダム大会の盛んな様子を味わうことも草原の夏の楽しみの一つです。夜になると、草原の夜空は、手を伸ばすだけで、星がつかめそうなくらいに透き通っていて、星空からは蒙古族の長唄や、「エンヤ」の美しい歌声が聞こえてくるようです。

 北京の夏は蒙古草原よりやや早く訪れ、5月から始まります。熱い夏の日、北海公園の美しい蓮の花と白い塔から聞こえてくるチリンチリンと鳴る風鈴の音は夏の風物詩として多くの北京市民に愛されています。清涼感あふれる風鈴の音色を聴くだけで涼しく感じます。このほか、酸梅湯(さんめいたん)という梅ジュースととジャスミン茶も北京市民の夏の大好物です。特に、夏の疲れをとる癒しのジャスミン茶は多くの人々に好まれます。日本でも有名な「駱駝祥"(ラクダのシアンズ)」などの名作を発表した作家・老舎もジャスミン茶が大好きで、ジャスミン茶を飲みながら小説を創作する習慣があったそうです。「北京では、温和な香片茶(ジャスミン茶)があれば充分なのだ」と書いたこともあります。また、その新劇代表作『茶館』では老舎は老舗「裕泰茶館を舞台に、北京の文化、北京人の生活スタイルを描きました。

 今回の番組の中で取り上げたのは「牧歌(牧歌)」、「草原之夜(草原の夜)」、「前門情思大碗茶(前門の大碗茶)」、「夜深沈(深々と夜が更ける)」全4曲でした。

 1曲目 牧歌(牧歌)

 この曲はそもそも内蒙古自治区東部の「長唄民謡」で、チェロやバイオリンの独奏曲、合唱曲などさまざまな音楽形式にアレンジされましたが、最も広く伝わるのは作曲家・瞿希賢さんが1954年にアレンジしたアカペラ合唱曲です。このアカペラ曲は混声四部の表情豊かなハーモニーで蒙古草原の美しい景色をうまく再現しました。曲のなかでソプラノの明るく澄んだ歌声は広々とした空を表現し、がっしりしたアルトは人々に空の雲を想像させます。清らかで高らかなテノールは草原の中の白い羊を表し、低く沈むバスはまるで果てしない草原のようです。

 歌詞:

 緑の芝生で白い羊が走る。羊の群れは羽毛に撒かれた真珠のようだ。果てしない草原は私たちの故郷、白い雲と青空は私たちの凧揚げ、私は朝焼けに向かって自由に歌う。生活はどんなに幸せか。

 2曲目 草原之夜(草原の夜)

 曲の緩やかなメロディーが美しい草原に誘います。

 歌詞:

 美しい夜はどんなに静かか、

 草原は僕の馬頭琴の音色しか残っていない。

 遠方の娘に便りを書きたかったが、

 この思いを伝えてくれる人がいない。

 雪溶けの季節になると、

 娘は僕の馬頭琴を聞き訪れる。

 3曲目 前門情思大碗茶(前門の大碗茶)

 前門は北京の下町で、昔は人力車夫や小商人、大道芸人など労働者の住む町でした。大碗茶というのは茶碗に注いだお茶を売る屋台です。そもそもは、人力車夫が手早く、安く飲めるために考え出されたもので、その後、北京庶民の平均的な喫茶スタイルとなりました。この唄は北京の下町・前門の辺りで暮らした庶民の生活スタイルを描きました。

 4曲目 夜深沈(深々と夜が更ける)

 この曲はもともと京劇の音楽で、若い尼がその仏門の寂しい生活を悲しみ嘆く気持ちを描いたもので、劇の中の「深深と夜が更けて、1人で座る」というセリフより名付けられました。1930年代には、京劇の女形で有名な梅蘭芳(メイ・ランファン)がこの曲を京劇の名作『覇王別姫(はおうべっき)』に取り入れたことでも知られています。(黄競)

 この番組へのご意見・ご感想などがございましたら、ぜひお聞かせください。

 宛先

 〒100040 中国国際放送局日本語部「中国メロディー」係 

 メールnihao2180@cri.com.cn

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