「川という字」
牟さんは、読み書きができなくいろいろ困っていたが、その年の暮れに思い切って塾に通い始め、最初に先生から「川」という字などを習った。
「これからはおいらも字を書けるんだ」と少し得意になり、酒仲間で同じように読み書き出来ないとなりの申さん呼んできた。
「申さんよ。おいらはもう読み書き出来るんだぜ」
「ほんとかい?へえ!牟さんよ、幾つ字を覚えた?」
「いや、まだ多くはないが、そのうちに申さんにも教えてやるよ」
「なんだい。はじめたばっかりだというのに、もう威張ってやがる」
「威張ってなんかいねえよ。」
「じゃあ。牟さん、なんという字を習ったんだ?」
「そりゃあ、たくさん習ったよ。中でも川という字は忘れられないねえ」
「川?川って、あの流れる川かい?」
「ああ。流れる川だよ」
「へえ?じゃあ、どんな字が川なんだい?」
「そうよ。で、申さんに見せるため、習字の本をわざわざ買ってきたんだ」
と牟さんは、習字の本を広げた。
「へえー?いろいろ書いてあるけど、どれが川という字なんだい?」
「そう、あせるなよ。今教えてあげるからよ」
こうして牟さんは、習字の本をめくり始めた。が、川という字はなかなか見つからない。
これを横で見ていた申さん、にやっと笑っていう。
「なんだよ。読み書きはじめたなんてうそだったんじゃないのかえ?牟さん」
「うそじゃねえよ」と牟さんはいくらかあせり始めたが、そのうちに一、二、三の三という字をみつけ、少し考えてから何かに気づき言った。
「なんだよ。あったよ。あったよ。ここにあったよ。ええ?仕方がないねえ。川と言う字はこんなところで横になって寝ていやがったよ」
今度は「起き上がらなきゃよかった」です。
「起き上がらなきゃよかった」
展さんが町を歩いていた。が、どうしたことか、不意に転んで尻餅ついた。
「いてて!なんだよ!」と展さん、お尻についたほこりを叩き落しながら立ち上がったが、またすぐに転んでうつ伏せになった。
「うひ!なんだい?頭にくるなあ!起き上がってすぐに転ぶのだったらさっき転んだときに起き上がらなきゃあよかったよ。ほんとに!もう!」
次は、「笑広府」からです。「短い魚」です。
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