ここ数年、中国の天然ガス価格は50%以上上がったのに、末端小売価格の値上げ幅は24%でしかありません。ゆがんだ価格により天然ガスの消費量は生産量を大きく上回るようになり、天然ガスを原料とするエネルギー消費の高い産業は大きな利潤を得ました。そのため、政府は天然ガス価格の改革を第12次五カ年計画における資源価格改革の主要目標に定めました。
エネルギー価格の改革が加速すれば、CPI・消費者物価指数の上昇幅も拡大するだろうとみられています。これについて、中国農業銀行の首席エコノミスト向松祚さんは、「ここ数年、エネルギー価格は全体的に低いレベルにあり、特に小売価格は非常に安い。エネルギー価格の改革と言えば、まずは石油と天然ガスだ。この二つの改革は国民の生活に大きな影響を与えるため、国民がCPIの上昇を懸念するのも理解できる。しかし、エネルギー価格の改革については段階的に実行し、国民の生活用と工業用を分ける必要がある」と述べました。
石油価格の改革は非常に複雑ですが、その基本原則は国民の生活用エネルギーを保障して大幅な値上げを避ける一方、エネルギー消費の高い産業を抑制し、高額な市場価格によって過剰生産を抑えることです。
これまで低いエネルギーコストや安易な銀行貸付などによって、企業の投資熱が刺激され、多くの工業分野で過剰生産に直面しています。これに対し、苗圩工業情報化相は、「ある業界のエネルギー利用率が75%か70%より低くなれば、企業間の質(たち)の悪い競争を招くので、警戒しなければならない」と指摘しました。
去年から貸付や投資が回復の兆が現われても、中国経済における生産過剰の問題は依然として深刻化しています。なぜなら、中国の過剰生産は市場競争によるものではなく、政府が関与した結果だからです。これについて、向松祚エコノミストは、「中国で生産過剰のひどい業界にはいくつかの特徴がある。一つはGDPの成長に非常に影響がある業種、鉄鋼、自動車、セメントなどだ。二つ目は、これらの業種は政府の審査と承認が必要なことだ。そのため、過剰生産を解決するには政府の体制改革をして、市場が真に役割を発揮しなくてはならない。三つ目は、地方での生産過剰で、それはほぼ技術レベルの低いものだ」と述べました。
過剰生産問題の解決について、苗圩工業情報化相は、「産業の集中度を高め、企業の研究開発を奨励し、製品の技術的付加価値を向上させていく」との考えを示しました。(03/26 Lin、大野)
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