地下水資源は中国で重要な水資源とされていますが、近年、過度な利用や水質汚染により地下水環境問題が浮き彫りになってきています。中国環境保護省の関係者によりますと、中国は、今後10年間、地下水環境の整備に350億元(約4200億円)に上る巨額な資金を投入するということです。
このほど『全国地下水汚染防止整備計画』が発表されました。これは、中国が地下水整備について全面的に指導を与え、地下水の汚染防止と整備を初めて国家政策に盛り込んだ初の計画書となります。中国環境保護省汚染防止整備局の趙華林局長はこの計画について「地下水は中国で重要な水資源で、国民の健康問題にかかわっている。計画は飲用水水源の確保と汚染源の根絶に重点を置き、法整備の強化や汚染基準の制定、リスクアセスメントの改善などを通じて、地下水の飲用水水源の水質を確保することになっている」と説明しました。
ここ数年、中国の都市化・工業化が進む中、一部の地域では、地下水の過度な利用によりその水位が下がりつづけています。また、一部の都市では、汚水やゴミ、工業廃棄物、農薬などによる汚染水の地下への浸透により、地下水の汚染問題がますます深刻になっています。データによりますと、全国の地下水資源のうち、水質基準レベル1~レベル3に達するのは63%で、残り37%はレベル4とレベル5のものだというです。
趙華林局長は「表流水と比べ、地下水の汚染は、長期的かつ複雑で顕著でないといった特徴があり、いったん汚染されると、その整備と改善にはより手間がかかる上、取り返しの付かない生態的破壊を招きかねないので、甚大な経済的損失をもたらすことになる」と強調し、今後10年間で350億元(約4200億円)に上る資金を地下水環境の整備に当たらせることを明らかにしました。
また、趙華林局長は「2015年までには、地下水汚染状況の把握、その汚染源へのモニタリング、水質悪化への防止で段階的な成果を上げ、地下水環境監視管理体制の全面的な確立を目指す。そして、2020年までには、典型的な地下水汚染源に対する全面的なモニタリングや重要な飲用水水源への基本的な保障、重点地域における水質の改善と環境監視管理能力の向上を実現し、地下水汚染防止整備体制をほぼ確立する計画だ」と語りました。
また、計画によりますと、中国は向こう10年に地下水と表流水を一本化した汚染防止整備メカニズムを確立します。趙華林局長によりますと、地下水の改善は技術的に難しく、中国はその技術力が不足しているため、今後、外国の先進的な技術と管理ノウハウを導入する必要があるということです。一方、地下水処理の関連産業は環境保護事業における新興産業となりそうです。(ミン・イヒョウ)
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