北京
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中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が15日から18日にかけて北京で開催され、改革の全面的な深化と中国式現代化の推進を重点的に検討する。今大会は昨今の中国社会における大きな出来事として、国内外から広く注目されている。
NHKなど日本の主要メディアは今年の春から、第20期三中全会についての報道を始めている。簡単に言えば、中国共産党の代表大会は5年ごとに1回開かれる。2回の代表大会の間には党中央の全体会議が7回にわたって開かれる。今回開催される会議は3回目の全体会議である。これまでに開かれた三中全会はいずれも中国社会の節目の時期に当たっていた。例えば、1978年に開かれた第11期三中全会では改革開放の実施を決めた。その後、1993年に開かれた第14期三中全会では、社会主義市場経済体制の基本的な枠組みが決められた。海外メディアの報道にざっと目を通すと、改革の全面的深化、中国式現代化などがキーワードとなっている。
46年前の第11期三中全会に端を発する改革開放は、大地を吹き抜ける春風のごとく中国を変え、世界にも影響を与えた。日本の拓殖大学海外事情研究所の富坂聰教授によれば、中国が改革開放によって得た最大の成果は著しい経済発展であり、とりわけ住民の可処分所得の大幅な増大である。富坂教授はまた、2008年以降、中国は世界経済の発展にますます大きなプラスの影響を及ぼしており、それは国内的にも海外的にも、中国の対外開放にとっての重要な意義であると述べている。
今日、改革の全面的な深化が新たなページを開こうとしている。かつて、中国は伝統的な製造業を中心に経済を発展させてきた。だが、新たな発展段階においては、労働集約型産業を高付加価値の消費主導型経済へとレベルアップすることがますます求められる。外部要因を見ると、国際関係の変化はグローバルな産業チェーンとサプライチェーンの安定性を大きく脅かしており、グローバル経済において、持続可能な発展を実現させるためには改革の全面的な深化が必須である。
改革の次の段階を全面的に深化させるための重点は科学技術のイノベーションだと見なされており、経済発展にはイノベーションによる牽引が必要だ。現在、中国は宇宙事業、ロボット、量子通信、コンピューティング、原子力などのハイテク分野に重点的に力を注いでおり、中国製電気自動車(EV車)、自動運転技術に代表される中国のスマート製造が世界で人気を呼んでいる。
ドイツで閉幕したばかりのサッカー第17回UEFA欧州選手権は世界の注目を集めたが、中国のEV車メーカーは今大会のオフィシャル・パートナーとしてEV車を提供し、欧州の消費者は中国製EV車の技術と未来の交通の可能性を実感した。UEFAマーケティング・ディレクターのギー・ローラン・エプスタイン氏はこれについて、グリーンな欧州選手権を実現するというUEFAのビジョンと合致しており、欧州選手権のグリーンな転換に中国のEV車が貢献してくれることを楽観視していると述べている。
周知のように中国は世界のわずか9%を占めるに過ぎない耕地、6%を占めるに過ぎない水資源で世界の5分の1の人口を育んでいる。中国は2020年の末に、貧困脱出という堅塁攻略戦に全面的に勝利した。中国では9899万人の農村部の貧困人口、832カ所の貧困県、12万8000カ所の貧困村が全て、貧困からの脱却を果たした。地域的な貧困状態が解決され、絶対的貧困を解消した。中国は貧困撲滅の中国モデルを作り出し、世界の貧困撲滅事業に中国の知恵で貢献した。国連開発計画(UNDP)総裁補兼アジア太平洋局長のカンニ・ウィグナラジャ氏は、「中国が絶対的貧困を解消するという目標を実現させたことを喜ばしく思う。中国は大部分の人々の貧困脱却を支援しただけでなく、多くの人を中産階級へ押し上げるのを推進したのであり、中国の農村部のインフラ施設の建設や社会保障計画の経験は世界に注目され、学ぶに値する」と述べた。また、国連のアミナ・J・モハメド副事務総長は、「中国の経験から学び、そこから利益を得ることができる。国連ができることは、国連の17の持続可能な開発目標の最初の一つである、『貧困をなくそう』という目標を実現させるために、世界各地で中国の実践と経験を分かち合うことだ」と述べた。
習近平国家主席は、「人類は互いに依存し合う運命共同体である。世界が良くなれば、中国も良くなる。中国が良くなれば、世界もより良くなる」と指摘した。今回の三中全会では、内需の潜在力をいかに解き放ち続けるのかが焦点となる。人類運命共同体を構築する行動計画では、中国式現代化と世界との結びつきがより強まるだろう。(CMG日本語部論説員)
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