北京
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中国で最も重要な祝日で、旧暦の正月である春節が近づき、2024年の中国の「人口大移動」が幕を開けようとしている。今年の中国の春節帰省やUターンのための特別輸送態勢「春運」は、春節当日の2月10日を挟む40日間で、1月26日に始まり、3月5日に終了する。人口の大移動は中国だけの特色だと思っている人が多いが、実は隣国の日本も儒教の影響を深く受けた国として、連休には帰省する風習がある。そのため、元旦やお盆など、中国の春節のような大移動が見られる。
今年の「春運」期間中には、約90億人が旅行や帰省、レジャーなどに出かけると予測されており、全国の地域をまたぐ人の移動量は過去最高を更新する見通しだ。注目すべきは、今年の「春運」に構造的な変化が起きていることだ。鉄道、高速道路、民間航空、水運の旅客輸送を含む伝統的な営業輸送の利用者数は約18億人と予想されているが、残りの80%は自家用車の利用となり、その数、約72億人と過去最高を更新すると見られている。
鉄道の移動需要も集中的に放出される。中国の国有鉄道会社の中国国家鉄路集団(国鉄集団)の予測によると、今年の「春運」期間中、全国の鉄道は旅客を延べ4億8000万人、1日平均1200万人輸送する。昨年の「春運」と比べると37.9%増となる。乗客の流れは全体的に高水準の運行となり、春節の連休前は比較的安定し、連休後は比較的集中するという特徴が見られる。現在の予約販売状況を見ると、帰省や旅行のための旅客流動の増加傾向が顕著だ。民間航空については、今年の「春運」の旅客輸送量が延べ8000万人を突破する見通しで、昨年より44.9%増加し、こちらも過去最高を更新する見込みだ。現在、各航空会社は「春運」期間中に2500便以上の国際定期便と時間外チャーター便の新規手配を提案しており、その大部分は春節連休前後に実施される予定だ。新規便のほとんどは東南アジア、日本、韓国などの周辺国・地域に集中しており、日本とタイへの増便はいずれも600便以上、韓国への増便は200便以上、シンガポールへの増便は150便以上、マレーシアとインドネシアへの増便は100便以上を計画している。
「春運」は多くの中国人に関わっている。これは「暖かい」帰路であり、寒風と凍てつく雨に遮られることのない帰路であると同時に、中国の鉄道輸送や公安、都市のインフラおよび公共サービスの管理レベルを多方面から検証するものでもある。今年、中国が打ち出した「春運」のテーマは「安全な春運、快適な春運、暖かい春運」。
穏やかで安全で、スムーズに歩んでいる今の中国の「春運」は、多方面の努力と科学技術のおかげで、「行ける」だけでなく「うまく行く」ことができるようになった。年越しで家に帰るのは、単なる1回の簡単な帰省旅行ではなく、感情的なニーズを満たすための心温まる旅でもある。オンラインの「高速鉄道ホットチェーン」による食事は、注文後30分で乗客の手に届き、料理の味もよりおいしくなった。複数の航空会社は相次いで航空券の払い戻しと変更に関する新たな規則を発表し、払い戻しと変更の料金の割合を下げると同時に、無料の払い戻しと変更の範囲を拡大した。小型バスの無料通行時間帯は9日間に達し、サービスエリアでの駐車、充電、給油、飲食などのサービス管理は絶えず向上を続けている。
「春運」期間中のサービスの質を着実に改善・向上させるため、遼寧省はオンラインによるチケット購入・発券、自動改札などのサービスの応用を全面的に推進し、ペーパーレス移動を普及させるとともに、若いボランティアスタッフを積極的に組織して、駅、空港、埠頭、高速道路のサービスエリアなどで、相談・案内、発券補助などの的確かつ専門的なサービスを展開している。また交通、鉄道、民間航空などの部門間の情報共有を強化し、幹線輸送と都市交通の連携を強化し、旅客の外出満足度を高めている。ここ数年、中国の「春運」における移動体験の向上は、交通機関や駅施設の改善だけでなく、サービス意識や情報技術レベルの向上にもつながっている。
時代の発展により、故郷に帰る旅は遅いものから速いものへ、困難なものから便利なものへと変化した。しかし、中国人にとっても日本人にとっても、時代がどのように変わろうとも、旅路がどんなに遠かろうとも、故郷に帰ることは私たちの変わらない共通した想いであろう。(CMG日本語部論説員)
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