孟京輝演出の音楽劇を見てきた。まずどうしてミカンなの?というところから。
イタリアの伝説に・・・1人の王子がいました。重い病気(精神病らしい)になり、命が助かる唯一の方法は隣の国の王様が大事にしている三つのミカンをとってくること。王子はなんとかそのミカンを手に入れましたが、自分の王宮に戻る途中、あまりに喉が渇いてそのミカンを口に入れようと皮をむくと、中から三人の王女さまが現れました。最後、王子様は一番年下の王女様を愛し王女と共に数々の苦難を乗り超え、めでたく幸せになりましたとさ。
という、お話からミカンにしたらしい。だからか、音楽もヨーロッパの田舎のフォークを意識したようで、アコーディオンやギターなどを使っている。
しかし、この芝居のお話は上のイタリアのミカンちゃんとは全然関係ないと思う。孟京輝版「三つのミカン」の1つ目のお話は、女の子と空想家の男性の話。女の子は以前、上の階に住んでいた男性を好きになって、彼が去ってしまっても忘れられず彼が帰ってくるのを待っている。偶然であった、その空想家に惹かれ始めるが、その元彼が帰ってくると、「ごめんね」と言って去っていく。空想家は、彼女と出会った短い時間でも、自分の人生にとってはかけがえのないもの、十分だといって1話目終わる。
2つ目は1組の夫婦と隣の男性の話。夫婦はお互いに自分たちの結婚は、幸せで満ちたりたものと思い込んでいる。毎日毎週、決まったことを繰り返して生活している。そんな2人に隣の男性が割り込んで入ってくる。彼は奥さんを好きになってしまったらしい。奥さんもまんざらでもない。結局、隣の男は夫婦の家におしかけ、気持ちをぶつけ、夫婦にあとは2人できめてくれ・・・といって2話目終わる。(たぶんこんな話)
3つ目は昔の恋人が再会した話。彼女の方は別れてから2回結婚して、もう恋愛はたくさん、と思っている。彼は彼女に久しぶりにあって、やはりまだ彼女のことが好き。気持ちをストレートに伝える。彼女も彼と再会して、心が揺れるがやはり去っていく。
3つの話をみてみると、男性の方が純真でロマンティックみたい。でも、孟京輝の演出なので、批判精神と前衛的な味付けになっていて、とても愛情物語とは言い難い。3つの話につながりは感じられない。しいていえば、役者がみな舞台わきで楽器を演奏したり歌ったりしながら、芝居に参加しているところかもしれない。孟京輝曰く、この音楽劇「三つのミカンの愛情」で幻の「愛のユートピア」を表現したかったとか。
さて、あなたはこれを見て、「愛のユートピア」を感じますか?
蜂巣劇場で7月25日まで上演。(取材:はたざわ)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |