ナビゲーター 黄競
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「夏に至る」と書く夏至、実際はこの時期、夏はすでに半分が過ぎ、いよいよ真夏に入ります。今回の中国メロディーはこの夏至に関わる音楽をお伝えしましょう。
蝉の音楽会
中国には「夏至到、蝉始鳴(夏至になると、蝉が鳴き始める)」という諺があります。夕方散歩すると、賑やかな蝉の鳴き声が聞こえ、まるで蝉の音楽会を楽しむかのようです。たくさんの蝉が梢に並ぶ姿は、まるでオーケストラの団員が舞台に立つようで、誰かが歌い出すと、次々と歌い始めます。それぞれが、競い合って最も美しい音色を自然界に捧げます。
雨の小道
夏至の頃、中国の揚子江地域は梅雨に入ります。この時期、しとしと降り続く雨の中の江南地方はまるで水墨画のような、淡い美しさを持っています。そんな江南水郷の梅雨を描く詩が多く残されています。
現代の詩人・戴望舒の「雨巷(雨の小道)」という詩は詩人が雨の小道で番傘をさしながら、ライラックに似た、愁いをもった少女との出会いを待つ心情を語りました。そのリズム感ある美しい詩句を読むと、梅雨の頃、江南水郷の長い雨が降る小道やライラックのような少女、時代の風景である番傘などがまるで一枚の水墨画のように読者の頭の中に浮かびあがってきます。
夏至に麺
夏至のころ、江南地方では雨がしとしと降り続く梅雨の時期ですが、広々とした華北平原では、麦の収穫時期を迎えます。白い雲と青空の下で、見渡す限りの麦畑を風が渡るとき、黄金色の麦の穂波がざわざわ揺れます。あちこちに人を酔わせる麦の香りが漂っています。
中国の北方地方では「冬至にワンタン、夏至に麺」という諺があり、食べ物にこだわりのある北方の人々は夏至の日に麺を食べる習慣があります。毎年この日には北京の麺の店が大変賑わい、北京料理の炸醤麺や四川料理の担々麺、上海料理の陽春麺などが人気があります。
番組の中でお送りした曲
1曲目 生如夏花(生は夏の花のように)
これは人気歌手歌手・朴樹(プー・シュー)がインドの偉大な詩人・タゴールの名句「生は夏の花のように、死は秋の木の葉のように」からインスピレーションを得て創作したものです。過ぎ去った青春を懐かしむ作品と言われています。
歌詞:
闇の中でどのくらい眠れるのか
眼覚めるのにどのくらいかかるのか分からない
遠くからやってきて
あなたたちと出会った
僕は輝かしい瞬間
夜空に咲き誇る花火
決して戻ってこない
僕はここにいるよ
ここにいるよ
青春はオオガリが飛ぶように過ぎていき
夏の花のように美しい
2曲目~ 雨巷(雨の横町)
この歌は現代の詩人・戴望舒が1927年に創作した現代派の詩作「雨巷(雨の小道)」を元にアレンジしたものです。
歌詞:
番傘をさしながら
一人、さまよい続ける
長く寂しい雨の小道
出会いたい
ライラックに似た
愁いをもつ少女と
ライラックと同じ色
ライラックと同じ香り
ライラックと同じ憂い
を持っている
雨の中で悲しみ憎む
悲しみ憎んで、また、さまよう
彼女は、この寂しい雨の小道をさまよって
番傘をさして
わたしと同じように
わたしと同じように黙って、少し進んではたたずむ
冷たくて、寂しく、悲しんでいる
彼女は黙ったまま近づいてきて
近づいたかと思うと
溜め息のような眼差しを注いでくる
3曲目 風吹麦波(風に揺れる黄金の穂波)
歌は人気歌手・李健と宮廷時代劇「宮廷の諍い女」の主演を務める孫儷がデュットしたラブソングです。
歌詞:
遠く青空の下
黄金色の穂波が揺れ
そこはあなたと私が
愛し合うところ
そよ風が豊作の風味を運んできて
私の顔に当たる
あなたの優しい言葉を思い出し
私は目に涙を浮かべる
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