朝になった。華良が早めに質屋にいくと、主が今日は家の畑を耕してくれという。そこで華良が牛に鋤を付けて畑を耕していると、なんと大きな鉢が掘り起こされたので、主に黙ってその鉢を持ち帰り妻に見せ、「ほら、夢が本当になったぜ」という。
「あら、もうけたわね。でもどうかしら?」と梁花はいい、鉢を持ち間違えたのか落としてしまった。するとカラーンという金具の音がしたので夫婦はびっくり。
「おお、確かに普通の鉢とはちがう」と華良が鉢をきれいに水で洗い、昨夜見た夢のことをもう一度梁花に聞かせたが、梁花はまじめな顔して答えた。
「この鉢は小麦粉をこねるのに使うわ」
「何を言う。一枚の銭を入れれば、鉢いっぱいの銭になるかも」
「でも幸せは働いてから来るものよ。そんな変な考えはよくないわ。出ないと、夢の中で爺さんが言ったように家をつぶすことになるかも」
これに華良は困った顔をした。この華良は元から妻のいうことを聞くので、仕方なく、この鉢は小麦粉をこねるだけに使うことになった。
そこで梁花が翌日鉢を使って小麦粉をこね終わり、残った小麦粉を鉢に入れておくと、その翌日に小麦粉は鉢いっぱいになったので、小麦粉をこれからは買う必要がなくなったのだ。。
こうして華良は質屋の手伝いで稼ぎ、梁花は手打ち麺を売ったので暮らしは徐々によくなっていった。しかし、華良はやはり、たくさんお金がほしいという考えを捨てなかった。
数ヶ月たったある日、梁花が寝たのをみて華良はこっそりおきて、鉢から小麦粉を出し代わりに小銭一枚を入れて寝た。そして翌朝早く起きた梁花が見ると鉢は小銭でいっぱいになっていた。怒った梁花は華良を起こした。
「お金欲しさに我が家を不幸にするの!」
これに驚いた華良は「いやいや、妻と子供のほうが金よりいいや。実は小銭を入れて増やし、お前を試してみただけさ」と言い訳した。
「いいわ。あんたは大工さんを何人が呼んできて。私はこの金で祠を直してもらう」
これに華良はしぶしぶうなずいた。
さて一年がたった。このときに梁花は三人目の子を生んでおり、家の暮らしもかなりよくなり、夫婦は稼ぎで余ったお金を使い、祠の東側に家を建てた。
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |