むかし、むかし、そのむかし。人々がまだものを植えることを知らず、山で草木の実を取って食べ、狩をして獲物を生かまたは火であぶって食べていたころ。
そして、人も多くなり、いろいろとごたごたも起きるようになった。もちろん、強い頭領がその場にいれば、ことは一応おさまるが、頭領がいないと、ケンカや殺し合いもするありさま。こうして怪我をしたり死んだりするものが多く出た。それに死んだものは化け物となって生きたものを食ったりし、世の中はひどい有様になり、生きていくだけで大変だった。
これに長い間悩んでいた頭領のモゲンは、ある日、天の神モーミに頼もうと広場に跪き、「慈悲あるモーミさま、わしら下界のものを哀れみ、何とかしてくだされ」と頭を下げて叫んだ。これにモーミは答える。
「わかった。私は神の鳥に西の遠い山でタマゴを産ませよう。お前はその山に行って三つのタマゴを探しなさい。タマゴには人が入っている。その三人がお前たちのことをうまく始末するのじゃ。お前はタマゴを持ち帰り、その三人を出してやれ。いいか、この三人の言うことを聞けばお前たちの暮らしは落ち着く」
そこでモゲンは翌日の朝、二人の供を連れて西のほうに向かった。そしていくつかの山を登ったが、タマゴどころか、神の鳥の影さえみつからない。こうして半月が過ぎ、持ってきた食べ物もなくなり始め、三人はへとへとになって一番高い山の中腹にある大きな岩の上で休んでいた。と、そのとき。不意に大きな鳥が山の向こうから飛び立ったのでびっくり。
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