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「医者と物乞い」

2011-06-23 14:02:31     cri    




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 今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。

 今日は「医者と物乞い」というお話をご紹介いたしましょう。

 いつのことかはっきりわからん。金城の広里という町に高玉成という医者がいた。彼は針灸が得意で、病人が金持ちであろうと貧しかろうと、その病をしっかり治した。

 と、ある日にここ広里に一人の物乞いがきた。物乞いは足に大きなできものがあり、そこから膿が流れ、道端に横になって喘いでいる。それに臭い匂いがして道行く人々は鼻をつまみ、物乞いをよけて通っていた。

 近所の人はこの物乞いがここで死ぬことを恐れ、死なないようにと毎日いくらか食べ物を与えた。これを知った高玉成は、物乞いを家の玄関の近くの部屋に運ぶよう下男に命じた。下男は物乞いの匂いを嫌い、鼻をつまんでいるが、高玉成はいやな顔一つせず、足のできものに薬を塗ったり包帯したりし、また下男に物乞いの飯を一日三食運ばせた。

 数日後、物乞いが小麦粉で作った「餅(ビン)」が食べたいと言い出したので、下男が怒って怒鳴ったが、これを見た高玉成は下男を叱りつけ、厨房にそれを作らせ、物乞いに食べさせた。翌日、物乞いは、今度は酒をくれという。これに下男が驚き、高玉成に、こんな贅沢が物乞いは追い出したらいいといったが、高玉成は少し考えてから物乞いがいる部屋にいった。そこで付いてきた下男がいう

 「できものはかなりよくなり、瘡(かさ)が落ちればまもなく歩けるようになります。しかし、この物乞いは痛みが取れたのにまだうんうん唸っているんですよ。わざと苦しそうにしているだけですよ」

 これに高玉成は答えた。

 「酒だとてそんなに高いものではない。今夜から酒と肉料理を与えろ。かまわん。病がよくなれば、もうここへはこないだろう」

 これに下男は首を縦に振ったものの、物乞いには酒や肉料理は与えなかった。その上隣近所にうちの先生はどうかしていると言いふらした。

 次の日、高玉成がかの部屋に行くと物乞いは立ち上がって礼をいう。
 「これはこれは、先生。このだびはお世話になりました。もうすぐ死ぬところをお助けいただき、なんと言っていいやら。しかし、わしの足はまったくよくなったわけではないが、酒と肉がほしくなりましてな。長い間口にしておらんゆえ」

 これに高玉成は下男が自分の言いつけを聞かず、酒と肉料理を与えなかったことを知り、早速下男を呼んでひどく叱りつけた上に棒で叩いた。そしてすぐ厨房に酒と肉料理を持ってこさせた。

 これに下男は恨みを持ち、その夜に、物乞いのいる部屋に火をつけた。こうして部屋は燃え、跡形もなくなったので、高玉成は嘆き、物乞いの屍を葬ってやろうと焼け跡に入ると、なんと物乞いは何事もなかったようにグーーグーといびきをかいて寝ていた。これに驚いた高玉成と屋敷のものは、この物乞いが凡人ではないことを悟った。

 このときから高玉成はこの物乞いを大事にし、客室に移って寝泊りさせ、足が治ると風呂に入らせ、新しい服に着替えさせ、この日は病人がもう来なくなったので、その客室に来て物乞いと話をした。

 「ところであんたの名前は?」

 「ああ、わしかね。わしは陳九と申す」

 こうして高玉成は暇があるとこの物乞いと話をし、相手がかなりの物知りだということに驚いた。また物乞いは碁を打つのが好きで、対局するたびに高玉成は負けてしまう。そこで高玉成は毎日夜になると、物乞いと対局した。

 こうして半年がたったが、今ではとても元気な物乞い、高玉成の屋敷を出るとは言わないし、高玉成も家を離れろとは言わないどころか、物乞いが好きになり、一人でいるとなんかいらいらしてくる。それに客や友人が来て食事となると高玉成は必ず物乞いを同席させる。

 しかし、ある日、物乞いは急にここを離れると言い出した。これに高玉成は慌てたが、物乞いはどうしても行かなくてはならないという。仕方がないので黙っていると、物乞いは自分は簡単な酒肴を用意したので高玉成と別れの酒を酌み交わしたいという。

 「陳九どの、どうして私にご馳走するのだね。あんた懐がさびいいのに、これからどうするつもりだ。私ら二人は今ではよき友となったのに。ここにいなされ」
 「そうはいかないのじゃ。それに、私の出す酒肴などたいしたことはない。わしはあんた一人と酒を酌み交わすのですぞ。いいですかな」

 「それは・・しかし、どこで?」

 「近くの花園にてな」

 「え?近くのあの花園?」

 「そうじゃ」

 「では、いきましょう」

 ということになり、高玉成は物乞いについてかの花園に来た。

 時は冬であったが、不思議なことに高玉成は花園に春が来たような暖かさを感じた。こうして大きな東屋に入ると近くで小鳥が囀っていた。石卓の三方を囲んだ水晶の屏風から、周りの景色が光って見えた。物乞いは高玉成に座るよう進め、自分は向かい側に座った。すると一羽の鸚鵡が飛んできて近くに止まったので、物乞いはにっこり笑い、「酒じゃ!」と一声。すると鸚鵡が飛んでゆき、すぐにいくつかの料理と徳利や杯が宙に浮かんできて卓に置かれた。それは高玉成が始めて見る料理で、物乞いに勧められるまま口にすると、酒も唸るほどうまい。これを満足そうに見ていた物乞いは、庭に向かって「踊れ」と命じると、水晶の屏風がふと消え、外では多くの蝶が飛び舞い、そのうちに蝶たちはきれいに着飾った娘にかわり踊りだした。これに高玉成はびっくりし、口をあけてこれを眺めている。すると物乞いが、化けろと小さく叫んだので、娘たちは不意に恐ろしい夜叉に変わり、気持ち悪い声を出した。これに高玉成は杯を卓の上に落としてしまった。そこで物乞いが「こら!」と声をかけると夜叉たちは蝶の姿に戻りどこかへ飛んで行った。落ち着きを取り戻した高玉成は庭に出た。空には明るい月が昇り、その月をみて酔っていた高玉成は思わずいった。
 
 「陳九どの、あんたの酒肴はすべて天から来たものでござろう。つまり、あんたは天に住んでいるお人。どうですかな?この私を一度天に案内してくれませんか?」
 これに物乞いは「よろしい。ではしばらく目をつぶって」と答え、高玉成の手をつかむと宙に浮かび上がった。こちら高玉成は体が浮き上がり、上に昇っている感じがした。しばらくして物乞いが目を開けてもよろしいというので高玉成は目を開けた。すると近くに天の玄関らしい大きな門が見え、それは白い石で出来た門で、光り輝いていた。中に入ると大きな木があり、それには蓮の花とよく似た大きな花が咲いており、木の下には赤い服をまとった美しい女子が何かをしていた。この女子があまりきれいなので、見とれた高玉成が歩くのを忘れていると、高玉成に気づいた女子は顔を上げきつい表情でいう。

 「何者じゃ。失礼な!ここに何しに参った!」

 これに我に返った高玉成は、その場を離れようとしたが、なんと女子はそれよりも速く、もっていた木の棒を放り投げ、それが高玉成の背中に当たった。これを見た物乞い、慌てて女子に一礼して高玉成を連れてその場を離れた。こちら高玉成は、その女子の一撃で酒が覚めたのか、顔を真っ赤にして物乞いに謝った。

 こうして高玉成が物乞いについていくと小さい雲が高玉成の足元に飛んできたので物乞いは、雲に高玉成を乗せるとこういった。

 「高どの、ここでわしらは別れなくてはならん」

 「ええ?ここで?」

 「いかにも。これからわしが言うことを覚えておきなさい」

 「ええ?」

 「よいな、高どの。実はあんたの寿命はもう終わる。そこで明日朝、あんたは西山の山奥に隠れるのじゃ。そうすれは寿命を延ばすことができる。いいですな。明日、西山の山奥にかくれるのですぞ」

 これを聞いて目を丸くしている高玉成を置いて物乞いは姿を消してしまった。こそして雲は、いくらかぼけてしまった高玉成を乗せ、家の庭におり、すぐ消えてしまった。

 われに返った高玉成は、今さっき物乞いが言ったことを思い出し、家に入って妻にことを話した。これに妻も驚きどうしようと青くなったが、仕方がないので高玉成は物乞いの言うとおりにすることにした。
 さて、翌日の朝早く、高玉成は食うものと着替えを持って西山にのぼり、へとへとになってやっと山奥にある谷間に来たが、疲れていたのかめまいがして足を滑らし、なんと深い谷間に落ちた。

 「ああ!これで私もあの世行きか!」とあきらめていると、自分の体がふわりと浮いたようになり、ある大きな洞窟の前に下りた。そこで高玉成、恐る恐る暗い洞窟に入っていく。しかし、なかなか出口が見えない。

 「なんということだ。私はこんなところで迷子になり、やがてはここで死ぬのか」と悲しくなったが、それでもで出口探して歩き続けた。やがで前のほうが明るくなったので、疲れを押し切っていくと、出口があり、そこを出ると仙境に入り、前を見ると三人にひげを生やした老人がいて、二人は囲碁を打ち、もう一人は横で酒を飲んでいた。高玉成が近寄ったが、三人の老人は顔を一度上げただけである。これにたまらなくなった高玉成がここはどこだと聞く。

 これに酒を飲んでいた老人が答える。

 「ここか、ここは仙境じゃ。で、おまえさん、いったいどうしてここに来たのかのう?」

 「はい、実は陳九という方に西山の山奥に隠れろといわれ、谷間に来て足を滑らし、洞窟の前に下りたのです。こうして洞窟に入り、なんとかここにたどり着いたというわけです」
 
 「ふんふん、陳九さんか。はははっは、あの人は変わった人じゃ。あんたの人柄を見て、助けたくなったのじゃろう」
 これを聞いたのか、碁を打っていた二人の老人もニコニコ顔で高玉成をみた。これに高玉成はほっとしているとかの老人がまたいう。

 「わかった。しかし、あんたはここにおられん。わしが送ってあげよう」

 老人はこういうと高玉成を連れて洞窟を出た。そして雲を呼び、これに乗って帰りなさいというので、高玉成は仕方なく雲に乗ると、老人は姿を消し、雲はやはり高玉成を乗せてゆっくりと家の庭に降りた。家に入ると妻が驚いた後泣いて喜び、高玉成が家を離れたその夜のことを話した。

 それによるとその夜、怖い顔をした数人の男が家に来て、高玉成を連れに来たといい、家中を探したが高玉成がいないので、あきらめて去って行ったという。

 実はそれから三年たっていたのだ。

 これに高玉成は不思議がった。妻は三年も高玉成が帰らないので死んだと思ってあきらめていたというので、高玉成は、腰に結んだいくつかの袋をあけてみた。するとまだ口にしていなかった食べ物は、とっくに干からび、粉々になっており、服は色があせっていた。

 これで高玉成はわかった。その怖い顔をした男たちとは地獄の使いで高玉成を連れに来たのだということを。そこで、高玉成は庭に出て跪き、大声で物乞いに感謝した。

 で、その日の夜、かの物乞いが高玉成の夢にでてきた。

 「高どの。あんたは心の優しい人じゃ。そんな人を早々とあの世に送るのはもったいないから、わしが助けたのじゃ。これからもよい事をを続けなさい」といったワイ。

 その後高玉成は妻と共に長生きしたという。

 そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。

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