では今度は「狩人の人助け」です。
「狩人の人助け」
呉の時代末期。臨海に住んでいるある狩人が山に出かけた。そして日が暮れだしたので、狩人が帰る支度をしていると、背丈が十尺もありそうな、白の帯を結んだ武士が来た、これに狩人はびっくりしたが、その武士はそんなことにはかまわずいう。
「わしはあるものと殺し合いをする。明日にそ奴と殺しあうのだ。そこで頼みだが、あんた、わしの手伝いをしてくれんか?そのお礼はきっとするから」
これに狩人はきょとんとしたが、相手が自分を害することはないと気づき、また、人助けは男としては当たり前だと思い、きっ張り答えた。
「ああ、いいとも。しかし、お礼なんかは余計な話だ」
「いやいや。しかしかたじけない。じゃあいうが、明日、朝飯を食ったあと、この近くにある小川の東岸に来てくれんか。わしの敵は北側から来るし、わしは南側から攻める。白い帯をしたのがわしで、相手は黄色い帯を結んでおる」
「わかった。明日きっと来る」ということになり狩人は家に戻った。
翌日、決まったときに狩人がかの小川の岸辺に来ると、岸辺の北側から大きな音が聞こえ、そこの草木はみな倒れており、南側も同じような光景だった。狩人が見ていると二匹の数十尺はある大蛇がそれぞれに這い出してきて、互いに大きな口をあけて相手に絡みかかり、それはすごかった。そして白い大蛇のほうはだんだん力がなくなってきたのか動きが鈍くなり、負けそうになったので、狩人は約束どおり、弓を張り、黄色い大蛇めがけて矢を何本か放った。こうして黄色い大蛇は何本もの矢に急所を刺され、そのうちに動かなくなった。すると白い大蛇は狩人のほうを見てからどこかへ這い去っていった。
その日の夕方、かの白の帯を結んだ武士が一人住まいの狩人の小屋に来て礼をいう。
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