「おお。気がはっきりしたようだな!これはよかった!よかった!」と金持ちは大喜び。そしていったいどうしたのかと娘に聞くと、娘は、あの日に家の庭で遊んでいると一人の馬に乗った少年がどこからか現れ、ぱちんこをもって木の枝に止まっている鳥をうち落とし始め、そのあとから何人かの供らしい者がついてきた。驚いた自分は隠れようとしたところ、少年は馬の上から自分を抱きかかえ、私と遊ぼうという。そこで自分は怖くなり泣き出したところ、少年は苦い顔をして自分を放さずいたが、しばらくして自分は激しく泣き出した。そこで少年は自分を道端に下ろして、供の者と行ってしまったという。自分は帰る道もわからないのでその場で泣いていると、ある人が家まで送るといって、自分の腕をしっかりつかみ、馬を飛ばして屋敷に着き、今さっき自分は気がついたという。
これを聞いた金持ち、いろんな医者に見てもらっても治らなかった娘の病が治ったので、張さんを仙人のように扱い始め、すぐに屋敷で宴を設けて張さんをもてなしたばかりが、約束どおり、銀一千両を礼金として出してきた。そして屋敷で一晩泊まり、翌日に出かければ言いという。王蘭と張さんはこれに喜び、夜に二人は相談し、一千両から二百両をこれからの路銀とし、残る六百両を王欄がその夜のうちにふるさとに持ち帰り、そのうちの三百両を張さんの家に届けるということになった。もちろん、王蘭は只者ではないからこんなことくらいは簡単にしてのける。
さて、翌朝になって張さんは屋敷を離れることになったが、金持ちは昨夜渡したはずの銀一千両を張さんがどこへやったのやら、かなり身軽で出かけるのを見て不思議がった。そこでまた銀三百両を張さんに渡した。こうして王蘭と張さんはかなりの金を稼いだ。
ところで、張さんの昔の友で賀才という男がいた。賀才はろくに働きもせず、金があれば博打と女につかい、このときもすっからかんで困っていると、人から張さんが方術を使ってかなり儲けたといううわさを聞いた。そこで必死に張さんを探し、なんと後から追ってきたではないか。これを見た王蘭は苦い顔して、賀才にいくらか金をやりふるさとへ帰らすよう張さんにいう。もちろん、張さんは王蘭の言うとおりにしたが、賀才は、金をもらったその日のうちに全部使ってしまった。これを知った王蘭は、賀才との付き合いを断てといい、それには金を多めに渡すしかないという。これに張さんは顔をしかめていたが、案の定、次の日に賀才がまた追いかけてきて、金をくれをいう。そこで張さんはいやいやながらも王蘭の言うとおりに、持っている金のほとんどを賀才に渡した。そして遊びはやめてまじめな人間になり、ふるさとへ帰れといい聞かす。
こちら賀才、張さんがこんなに多くの金をくれるとは思わなかったので、うれしくなり、約束するよといって喜んで行ってしまった。もちろん、賀才が本当に金を持ってふるさとに帰るはずがない。賀才が自分は金持ちになったからとその日から賭ける金が多くなり、高い宿に泊まり、上等な料理ばかりを口にし始めた。
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