次のお話は「首吊り幽霊」です。
「首吊り幽霊」
その昔、曹竹虚という役人がいた。曹竹虚はある夏、安徽の揚州への旅に出た途中で友人の家に寄った。その友人とは十年あまりの再会だったので、友人は喜び、今夜は泊まっていけという。そこでせっかくだから泊まることにしたが、夕餉の後、友人はいくらかためらったあと、眺めのよい庭がある書斎に酒と肴を下男に運ばせ、そこで二人また酒を酌み交おわし始めた。
こうして夜がふけた。そこで友人はそろそろ休もうと言い出したが、曹竹虚は、この庭が気に入ったといい、今夜はここで寝るという。しかし、友人は曹竹虚の寝床は母屋のほうで支度ができているから、そこで休むよう勧める。これに曹竹虚は酔っていたのか、今夜はどうしてもここで寝かせくれとがんばる。これに友人は困った顔をしたあと仕方なく話した。
「この庭の眺めは格別だろうが、実はこの書斎は夜半におかしなことが起こるんだよ」
これに曹竹虚は面白がった。
「え?おかしなこととはどんなことだ?」
「いや、この書斎では夜半になると変なものが出るので、寝られんぞ」
「何をいうか。あんたは私が昔からどんな人間だか覚えているだろう」
「おう、そうでござったな。しかし・・・」
「いいではないか、なにか起これば私のせいだ」
「仕方がない」
ということになり、曹竹虚は、この書斎に寝床を作ってもらい、友人が去った後、空けたままの窓から月の光に照らされた庭を見て横になった。そしてうとうとしたあと目を覚ました。というのは気配を感じ、何かが窓ではなく、閉めた戸の隙間から入ってきたのだ。そしてその者の顔の辺りが明るくなり、不気味に「ヒヒヒ!」と笑っている。みるとそれは首をつって死んだ幽霊で、長い舌を出し、真っ青な顔をして曹竹虚を見ている。これに曹竹虚は驚いたが、もとから肝っ玉が太く、怖いものなしときている。そこで曹竹虚は寝たままでいう。
「何だよ!人が気持ちよく寝ているときに邪魔しにきやがって!なんだ。ぶさいくな面して、つばが飛ぶから汚い舌を引っ込めろ!そうでないと、その白い面に墨をつけるぞ!」
これにこの首吊り幽霊はあっけにとられた。普段なら、人間は自分を見て肝をつぶしてしまうのに、今夜はあまりにもちがうので声が出ない。そこで曹竹虚は声を張り上げた。
「こら!聞こえないのか!ぐずぐずしているととっ捕まえて煮て食ってしまうぞ!」
これに幽霊はびっくり。急に恐ろしくなっのか、あわてて窓から飛び出ていった。こうして静かになったので、曹竹虚はその後はいびきをかいて寝てしまったと。
翌朝、曹竹虚は昨夜の出来事を友人に話し、朝飯のあと揚州に向かったワイ。それからというもの、この友人の屋敷には幽霊はでなかったと
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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