この声が大きかったのか、これを耳にした周りの呑み助も喜び、わいわいと声を出し、二人の酒豪の対決だなどをはしゃぐ。これに秦三も喜び、店の若いのに酒甕をもって来るよう言った。そしてにこのぎやかさを耳にしたのか数人の通りがかりの人までが面白半分に店に入ってきて、見物するかたわら自分たちも酒を注文する有様。これを喜んだ店の主は、「さあさあ、今日のこれからの二人の飲み代はわしのおごりだ!だから安心してくださいな」と叫ぶ。
これに野次馬であるほかの客が「いいぞ。やれやれ!はじめろ!」と油を注ぐ。こうして郭二と秦三は、互いに相手を睨み、「あんたが先にぶっ倒れるよ」、「酔いつぶれるのはおまえさんだよ」と言い合い、店の若いのが運ばれた酒甕からそれぞれ二人の目の前に置かれた大きな盃に酒を注いだので、二人は時々肴をつまみながらぐい飲みしはじめた。
こうして三つ目の酒甕をあけたころ、郭二が言い出した。
「まった、まった秦兄い」
「なんだい?なんだい?もう降参かい?」
「いやいや。まだ序の口だよ」
「それじゃあ、どうしたってんだい?」
「秦兄い、これも勝負だろ?」
「そりゃあ、そうだな」
「じゃあ、わしがもし負けたら、こうしよう」
「え?」
「明日から一年、兄いにただで豆腐を食べてもらおう」
「おお。いいねえ。お前さんの作った豆腐はうめえからな」
これを横で聞いていた店の主、「秦さんよ、あんたはどうするんだい?」
「え?。そうだなあ、うん、もしわしが負けたら・・・。えーっと。わしが負けたら・・。そうだ、わしにあるのは力だけ。だから負けたら、毎日お前さんの家でいって一年間石臼をまわそう」
これに店の主は、「これで決まった。さ、勝負を続けろ」とわめいた。こうして二人はまたも飲み始め、やがて6つ目の酒甕が空になった頃には、二人は、かなり酔い、そのうちに秦三が倒れてしまった。これをみた郭二は、なんとか家に帰らなきゃと、天秤棒をぶら下げ、千鳥足でどうにか家に戻った。
郭二はこの日は飲みすぎた上に、帰る途上で冷たい風に吹かれ、夜には熱を出してしまい、翌日は起きられす、豆腐も作れなかった。
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