さて、その次の日、郭二の熱はいくらか下がったが、まだよくならないので豆腐作りはできずにいた。そしてその翌日の夜中に妻に起こされた。
「ねえ。おまえさん、おまえさんたら」
「何だよ。まだ夜中だろう」
「ちがうんだよ。おまえさん、聞いてみな、うちの石臼が回っている音が聞こえるよ」
「なにをいう。こんな夜中に石臼が勝手に動くものか」
「ちゃんと聞いてみなよ」
こういわれて郭二が耳を澄ますと、庭の小屋から石臼が回る音が確かに聞こえる。
「なんだい?隣か?一言声をかけてくれりゃあいいのに」
こうして郭二は服を着て庭の小屋に入った。そこでは臼がまわる音だけがするので「いったい誰だい?こんな夜中に」と明かりをつけてびっくり。なんと、小屋には誰もいないのに石臼が自分で動き、水につけた大豆をひいているではないか!それに大豆を掬う瓢箪も勝手に動き、大豆を臼の上の穴から絶えず足しており、ひかれて細かくなった大豆は二枚の臼石の間からあふれ出て、溝を通って下の桶の中へ流れ落ちているではないか。これを一緒に部屋から出てきた妻もあっけに取られてしばらく見ていた。
「これはいったいどうなってんだ?!おい。石臼よ!止まれ!止まれ!」
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |